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第3362号 2020年3月9日


グラフィックレコーディングのはじめかた

情報共有や自身の振り返りのために,簡単なイラストや記号を活用して記録に残す手法がグラフィックレコーディング(通称,グラレコ)。ノートを取るとき,ミニレクチャーや症例プレゼンテーションをするときなど,皆さんの身近なところにきっと役立つ場面があるはずです。それでは,新しい記録の姿をのぞいてみましょう。

[Lesson 4]実際に描いてみよう! レイアウト編

岸 智子(福岡女子大学社会人学び直しプログラム コーディネーター)


前回よりつづく

 これまでの連載で,グラフィックレコーディングに興味を持ち,「よし! グラレコを始めてみよう!」と思ったものの,何から始めたらいいのか迷う人も多いと思います。そこで今回は,描くときの構図(レイアウト)について紹介したいと思います。

押さえておきたい基本レイアウト

 セミナーやシンポジウムなどで描かれたグラフィックレコーディングを見ると,下記のイメージのようにノートいっぱいに情報が描かれています。


(クリックで拡大)

 これを見ると,「どうやったら1枚にまとめて描けるのだろう?」「私には到底できそうもない」と,不安に思ってしまうかもしれません。でも,グラフィックレコーディングはあくまでも「記録」です。1枚にまとめる必要もありませんし,マンガのコマ割りのような,あらかじめ決められた構図があるわけでもありません。私は,描きながら余白を埋めていくイメージで描き進めていくとよいと考えています。

 とは言え,真っ白な紙に描き出すのは勇気が必要です。そこで,いくつか自分なりのパターン(型)を持っておくことをおススメします。人の目線は,左から右,上から下へ,「Z」のように動くと言われています。この動きに沿って描くと,読みやすいレイアウトが作れてしまうのです。

 左から右に描いていくノート式は,目線の動きと合っているので,シンプルで読みやすいレイアウトです。また,左上から右に,そして左下に向かって弧や円を描くようなうずまき型(らせん型)のレイアウトは,話の流れがつかみやすく,ノート式よりも動きを出せるのが特徴です。

 その他にも,さまざまなレイアウトがあります。①上から下へ説明していくステップ型。年表のように順を追って話の流れを記録していくのに適しています。スケジュールなどもこの形式で記録するとわかりやすいです。②時系列型は,ステップ型の横バージョン。子どもから大人への成長過程,年代ごとの出来事を記すなど,状況の変化を表すことに向いています。

 自然な目線の動きとは少し異なりますが,③上方に向かって描くロードマップ型は,山頂に向かっていくイメージの通り,目標やゴールに向けたプロセスを表現できます。④中央にテーマを配置して,そこから四方へ広がるように描くマンダラ型は,アイデアや考えを発散させるときに有効なレイアウトです。

 描き出すときは,レイアウトを最初から想定せずに,左上,左下,中央など,自分の描きやすい位置から始めるとよいでしょう。描き始めた場所から,ここまで紹介してきた基本レイアウトをイメージして描き進めていけば十分です。

○や□,⇔を効果的に使ってみよう!

 レイアウトを覚えたら,次は読みやすくするための工夫に取り組んでみましょう。例えば,下記のイメージのように,情報を簡単なレイアウトで描き出し,意味や話のまとまりごとに○や□で囲んでいくのがおススメです。後で読み返しながら,重要だと思う箇所を強調して囲むのもよいでしょう。色や形にルールはありませんが,あまりたくさんの色を使うと逆にゴチャゴチャして視認性が落ちてしまうので,2色程度にとどめておくとよいかもしれません。文字色+1色でも十分にメリハリの利いた記録になります

 他にも,話のつながりや流れを表すのに矢印(→)はとても効果的です。ノート式のレイアウトで描いていき,話のまとまりごとに区切りを入れ矢印でつなぐと,展開がわかりやすくなります

 線や矢印は,それ自身に意味を持っています。例えば,AとBを一本の線でつなげば,何らかの関連性があることを示せます。また,AとBを矢印でつなぐと,「AからBに動いた」「AからBに変わった」など,移動や変化を表すことが可能ですし,両矢印(⇔)を用いると,違いや対立などをイメージさせることもできます。このように,矢印や線を取り入れるだけでも,言葉を補ったり,情景を伝えたりすることができるので,ぜひ活用してみてください。

余白は怖くない! 積極的に生かそう!!

 最後に,「余白」についてお話しします。グラフィックレコーディングに限らず,私たちは余白ができると,「どうしよう,こんなにスペースが空いてしまった……」と焦って,まるで予定を詰め込むかのように余白を埋めたくなってしまいます。

 ですが私は,意識的に余白をつくることをおススメしています。その場では描き切れなかった内容を後から付け足したり,まとめ直したりできるからです。余白があれば,講演や授業などで,話し手が発した言葉だけではなく,自分自身の感想や気付き,疑問などを書き込むこともできます。そうした自分の思いが記載されているノートは,きっと記憶が想起できるものになるでしょう。

 次回は,「思い」を表現するための簡単なイラストの描き方を紹介していきます。

つづく

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