医学界新聞

2019.05.13



第37回臨床研修研究会開催


 第37回臨床研修研究会が4月20日,東京新宿メディカルセンター(関根信夫院長)が幹事病院を務め,「卒後臨床研修新時代に向けて」をテーマに東京都港区にて開催された。本紙では,卒前・卒後教育,専門医制度の現状を議論したシンポジウム「新研修制度のシームレスな運用に向けて」(座長=地域医療振興協会・北村聖氏,関根氏)の模様を報告する。

卒前・卒後のシームレスな医学教育実現へ

 医学教育モデル・コア・カリキュラム(以下,コアカリ)が2017年3月に,臨床研修の到達目標(以下,到達目標)が2018年3月にそれぞれ改訂された。初めに座長の北村氏がコアカリ改訂の方針を概説し,各項目が到達目標と整合が図られた点を強調した。コアカリに新たに診療参加型臨床実習が盛り込まれ,2020年度には臨床実習後に行うPost-CC OSCEが正式実施となる。診療参加型臨床実習は,学生の態度・技能を卒前から伸ばすことが可能になると意義を語り,臨床研修へのシームレスな移行に向け各大学での入念な準備を呼び掛けた。

 2004年の臨床研修必修化から3回目の見直しとなった到達目標について福井次矢氏(聖路加国際病院)は,実務研修の方略と到達目標の達成度評価を重点的に解説した。第1回の見直し時に7科目必修から3科目必修+2科目選択必修に減った研修プログラムが7科目必修に戻った一方,経験すべき症候,疾病・病態は29症候,26疾病・病態に絞り込まれた。達成度評価は各分野・診療科のローテーション終了時に,医師だけでなく看護師を含む多職種からも評価を受けることで妥当性がより高まると強調。少なくとも年2回はプログラム責任者・研修管理委員会が形成的評価を行うことを求めた。

 サブスペシャルティ領域の連動研修に対する懸念から,2019年4月に予定されていた専門医機構認定の連動研修開始が見送られた。日本専門医機構理事長の寺本民生氏はこれを念頭に,内科系の専攻医登録評価システム「J-OSLER」や外科系の経験症例を蓄積する「NCD」の情報から研修実績が認められた段階で,3年間の基本領域研修中にサブスペシャルティ領域の研修実績を認める連動研修が可能になると説明した。

 「総合医に対する理解と認識が不十分ではないか」。総合診療領域の専攻医採用数が少ない現状を踏まえこう問い掛けた尾身茂氏(地域医療機能推進機構)は,総合診療専門医が各科専門医のパートナーとして活躍することが社会と時代の要請であると指摘。若い医師には「専門性を追求すると同時に広い視野を持ってほしい」と結んだ。

シンポジウムの模様

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