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第3292号 2018年10月8日


情報伝達の改善でスムーズなケア移行を


 医療の進歩と高齢化に伴う疾病の慢性化・複雑化を背景に,医療・ケアの分業化と細分化が進んでいる。これに伴い,一人の患者に複数のサービス提供者,療養の場がかかわることが一般的になっている。こうした状況で情報伝達が不足した場合,患者の不利益につながると懸念される。例えば,入院中に変更された薬剤処方の情報がかかりつけ医に共有されず,不適切な処方が行われてしまう可能性などだ。

 病院内の多職種や病院外との連携をより安全かつ効率的なものにするために,情報伝達をどう行うべきか。日本プライマリ・ケア連合学会第16回秋季生涯教育セミナー(9月15~17日,大阪科学技術センター)で開催されたワークショップ「ケアの移行(Transition of care)の質を高める情報伝達――エビデンスに基づく病棟実務」(企画=獨協医大・本田優希氏,練馬光が丘病院・小坂鎮太郎氏,他)では,スムーズなケア移行のための情報伝達の在り方が議論された。

エビデンスに基づく病棟実務でケア移行の質を向上

 ケア移行(Transition of care)とは,「継続的な加療を要する患者が,保険医療サービスを受ける医療機関や療養の場が移行し,ケア提供者が変わること」と定義される。療養の場としては病院,診療所,リハビリテーション施設などがあるが,救急外来,一般病棟,集中治療室といった病院内での転床・転棟などもケア移行に含まれる。

 ワークショップでは冒頭,小坂氏がスムーズなケア移行の重要性を述べた。その後,カルテ,指示簿,症例プレゼンテーション,夜間・休日の診療の引き継ぎ(サインアウト),退院療養計画書,診療情報提供書といった情報伝達にかかわる病棟実務のポイントが関連するエビデンスを交え紹介された。また,少人数のグループに分かれて,模擬症例について症例プレゼンテーション,診療情報提供書作成の実践的研修が行われた。参加者らは,安全かつ効率的な連携のために,場面に合わせた適切なコミュニケーション方法を学ぶとともに,各施設での工夫などを共有していた。

 本紙レジデント号では次回(第3297号)から,ケア移行に伴う情報伝達をテーマにした新連載がスタート! 症例に基づき,情報伝達にかかわる病棟実務について,ケア移行の質を高める工夫やエビデンスを実践的に紹介します。お楽しみに。

模擬症例についてプレゼンテーションを行う参加者ら