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第3264号 2018年3月12日


Medical Library 書評・新刊案内


標準解剖学

坂井 建雄 著

《評 者》佐藤 達夫(東医歯大名誉教授・臨床解剖学)

解剖学の立ち位置を定める一冊

 医学教育の教科書としての「標準」シリーズは揺るぎない地歩を築いてきた。しかし,その第一冊を占めるべき解剖学が欠けているのは異様でもあるし,不思議に思っていた。解剖学を専門とする者として残念に思っていたところであり,本書の刊行を見て安堵している。

 前世紀末の頃,解剖学の立ち位置は定まっていなかった。系統解剖学が部位別に編成替えされ,機能および臨床要素が重視され,写真ならびにカラー印刷技術の発達の影響を受けて,解剖学書は衣替えし,多様化が進んだ。しかし,何となく落ち着きが悪い。多彩であっても主軸が欠けている感が強い。そうした状況の中で妥当な着地点を見いだしたのが,本書のように思われるのである。

 この20~30年間における解剖学書の見た目上の大きな変化は,著名な系統解剖学書がいったん解体されて,部位別記述に変換されたことである。これは使いやすさという点では前進と言えるが,再編しただけで本質的な変化ではない。わずかに臨床的意義が調味料として加えられているにすぎない。要するに部位別内系統解剖学書にすぎないのである。本書も部位別構成である。しかし,各部位の中での系統間の連関によく意を用いており,各章の始めに構成マップが示されており,見通しがよい。

 教育内容の膨大化に対応して,しばしば解剖学の減量化が俎上(そじょう)に載せられるが,解剖学者も努力してこなかったわけではない。著名な浦良治著『実習人体解剖図譜』(初版,南江堂,1941年)からして,最少の時間で最大の効果を得ることを目的として制作されたものである。2001年に公表された医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠して,本書でも掲載事項の精選が進められているが,現今の臨床サイドの要請も斟酌(しんしゃく)されて,量的にも妥当なところに収まっている。

 本書の最大の特徴は,単独執筆というところにある。複数執筆者による書籍に比べて粗密が小さく,しかも統合性を保った著作となっているが,それは,著者が若い頃に培った比較解剖学の素養がベースにあるからであろう。イラストを担当した阿久津裕彦氏とも,おそらく解剖所見と見比べながら1点ずつディスカッションを繰り返しながら作成を進めてきたと思われる。こうした協同作業の積み重ねにより,イラストの正確性と統一性が保証され,さらに職人芸を超えた芸術性がかもし出され,本書に品格を与えている。解剖学者と画家の見事なコラボレーションの例として,将来も語り継がれることになろう。

 本書は,長年人体解剖学の研究と教育に携わってきた碩学(せきがく)が,満を持して練り上げた秀作である。このような標準書が母艦として控えているならば,われわれも安心して教育に,研究に専念することができるというものである。著者の類いまれな力量と尋常ならざる努力,そして解剖学に対する愛情の深さに心から敬意を表したい。

B5・頁662 定価:本体9,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-02473-04


症例で学ぶ外科診療
専門医のための意思決定と手術手技

Justin B. Dimick,Gilbert R. Upchurch Jr.,Christpher J. Sonnenday 編
安達 洋祐 訳

《評 者》武冨 紹信(北大大学院教授・消化器外科学)

「臨床の物語」を体感できる実践的な教科書

 若手外科医にとって「正しくわかりやすい」をモットーに次々と教科書を著している安達洋祐氏(久留米大医学教育研究センター教授)の手による翻訳書が医学書院から出版されました!

 原書は『Clinical Scenarios in Surgery:Decision Making and Operative Technique』であり,臨床現場で遭遇する基本的疾患を具体的症例を提示しながら,鑑別診断・治療方針・手術手技・周術期管理を学べるように編集された教科書です。画像やイラストも充実しており,手術手順も箇条書きにされています。各章の最後には「症例の結末」と「重要事項」がまとめられており,病棟で上級専門医が“患者を診ながら”研修医に教えているような現場感覚が体感できる構成になっています。原書のコンセプトである診療現場を想定した実践的な構成と具体的な記載に注目した安達氏が,原書の123章から55章を厳選し,日本版だけの「いいとこどり」の本書を作成してくれました。

 さらに,この日本語訳版には原書にはない「訳注」「補足」「参照」がところどころに挿入されています。「訳注」や「補足」では,わが国のガイドラインや臨床の実情を考慮した記載やわかりやすい解説がきめ細かく加えられています。また,「参照」ではさらに詳しい解説を望む読者のために安達氏が厳選した参照教科書(それもページ数まで!)が紹介されています。また,参考文献の欄では「論文紹介」として内容を簡潔にわかりやすく解説してあるため,時間があまりないときの知識の吸収に役立ちます。

 本書は1ページ目から読む必要はありません。自身が経験した,あるいはまさに今経験している症例の章を開き,「臨床の物語(clinical narratives)」をぜひ体感してください。各章15分程度読むだけでその疾患の全容をつかむことができますし,さらに深く学習したくなること必定です。本書が全国の若手医師にとって,外科診療を体系的に学ぶためのきっかけになることを祈っています。

B5・頁352 定価:本体8,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03058-8


誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考えかた

小林 弘明 著

《評 者》亀井 三博(亀井内科・呼吸器科院長)

宝探しの旅に出かけよう

 胸部単純X線写真に含まれる情報は,極めて多い。単純とは名ばかりである。一見,平たんなだけに見える海も,その水面下に,魚,鯨のような哺乳類,貝,クラゲ,海藻など,あらゆる生物が潜んでいる。同じように,plain filmともいわれる単純X線写真には,その奥に,骨,軟骨,筋肉,さらに気管支,肺,心臓,そしてそれらに紛れて結節影が潜んでいる。単純X線写真を見るとき私たちは,主訴に関連した所見だけでなく,癌に代表される結節を見落としがないように無意識のうちに探している。

 ある日突然現れたかに見える癌を疑う結節が,いつから存在していたか。過去を振り返ると,既に数年前のX線写真にその萌芽が認められていたとき,冷たい汗が脇を伝う。これは年月を重ねても,あるいは年月を重ねた油断から,陥りやすいわなである。さらに,近年のデジタル化の波は,豊かな情報に満ちていたフィルム写真に替わり,情報をそぎ落とした液晶画面に投影される画像を見ることを私たちに強いている。深海に眠る宝ともいえる結節陰影を的確に見つけるためには,宝探しには地図が必要なように,このデジタル化時代であるからこそ私たちを導いてくれる地図が必要である。

 数年前,著者の小林弘明先生は,私の主催する「亀井道場」という学生・研修医,そして万年研修医を自認する医師たちのための勉強会に,はるばる福井から大量のレントゲンフィルムを抱えておいでになり,私たちに胸部単純X線写真の見かた・考えかたを伝授してくださった。大量のレントゲンフィルムはまさに宝の山であった。伝授していただいた方法はまさに,“結節(宝)を見つけるための地図”であった。それが本になったらと願っていたら,このたび医学書院から発刊された。トレジャーハンターが地図を見つけたような喜びと驚きを感じた。

 ここには,外科医として多くの結節の実際の姿を目にしてきたからこそ展開できる,徹底的な所見の解析に裏打ちされた見かた,そして論理の展開がある。ただ地図を見るだけでは宝に到達しないように,胸部画像は,ただ漫然と見るだけでは何も「見えて」こない。「考える」ことで初めて真の姿が見えてきて,宝に到達できることを伝えてくれている。

 内科医である私には,到底到達し得ない境地である。この本では,それが惜しげもなく私たちに公開されている。熟練のトレジャーハンターが,その技を伝授してくれているのである。これを手にしない法はない。

 さあ早速入手して,一緒に宝探しの旅に出かけよう。

B5・頁266 定価:本体5,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03008-3


眼瞼・結膜腫瘍アトラス

後藤 浩 著

《評 者》溝田 淳(帝京大主任教授・眼科学)

外来に置いて診療に役立ててほしい一冊

 今回後藤浩先生の『眼瞼・結膜腫瘍アトラス』を読ませていただいて,「やっと出たか」というのが素直な感想です。このような眼瞼・結膜の腫瘍や鑑別が必要な疾患に関する良い教科書が今までありませんでした。

 実際に外来で診療していると,さまざまな眼瞼・結膜腫瘍あるいは鑑別が必要な疾患に出合います。その頻度はそんなに低くないと思われますが,多くの眼科医は,気付かない,あるいはよくわからないので訴えがなければ気付かないふりをしていることもあるのではないかと思います。参考にすべき良い教科書やアトラスというものは本邦ではなかったということが一因だと思います。もちろんいろいろな教科書や,シリーズとなっている本の中に本書と同様のテーマを扱っているものはありますが,本書ほどまとまってはいません。一つの症例を見て,さてこれは何なのだろうと考えるときには,参考となるような写真がまとまって出ていて,それと比較をするのが最も容易で確実な方法で,このようにまとまったアトラス形式の本というのは非常に有用です。

 後藤先生の序の文章にも書いてありましたが,世界的な観点からはこの種の本はShields先生たちの書いた腫瘍の2分冊の一つである『Eyelid, Conjunctival, and Orbital Tumors:An Atlas and Textbook』(3rd ed, LWW, 2015年)という書籍が有名です。眼内腫瘍に関しては本邦でも箕田健生先生や大西克尚先生がわかりやすい本をお書きになっていらっしゃいますが,この眼瞼・結膜腫瘍に関してはそのような点からは落とし穴のようなところとなっていました。眼底写真を撮影することは多くても,前眼部写真を撮影することは実際に少なくまた困難で,写真を集めることも大変であっただろうと推測します。写真に関してはShields先生たちの本と比較しても勝るとも劣らずきれいで,加えて日本人の症例ですので,肌の色,瞳の色などの関係から,われわれが日常診療で遭遇する症例により近いものとなっています。いわゆる腫瘍とされているものばかりでなく,鑑別が必要な疾患,あるいは注意が必要な疾患や,日ごろ診察する機会が多い霰粒腫や結膜浮腫なども紹介されています。また,見落としてはいけない悪性腫瘍に関しては当然のこととして扱われていますし,IgG4関連眼疾患などに関しても述べられており,最新の情報が網羅されているものと思われました。

 個人的な好みですが,ハードカバーでないのも読者からすると扱いやすいです。この本自体の本来の使い方は大学病院の図書館にあるのではなく,開業の先生の外来に置いて,必要があった場合にその都度比較しながら診療するというのが正しいのかもしれません。

 最後に,所々に見られる後藤先生のコラム「ひとり言」の部分もお時間のあるときに読んでいただきたいと思います。診療や治療におけるちょっとしたヒントが示されていて,また著者の後藤先生の診察時のちょっとした心の動きなども見え隠れし,面白く読めるものと思います。余談ですが,本棚に入れてみて気付いたのですが,他の教科書などと比較して高さが高く,入らない本棚があるかもしれません。ただ,この大判サイズのおかげで,鮮明な症例写真が大きく掲載されているので,多少の不便は仕方ないかもしれません。

A4・頁176 定価:本体12,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03222-3


上部消化管内視鏡診断マル秘ノート

野中 康一,濱本 英剛,田沼 徳真,市原 真 著

《評 者》武藤 学(京大大学院教授・腫瘍薬物治療学)

若手内視鏡医必読! 内視鏡診断学の理解を深め,日常臨床のスキルアップを

 野中康一先生,濱本英剛先生,田沼徳真先生,市原真先生執筆による『上部消化管内視鏡診断マル秘ノート』を楽しく拝読させていただきました。

 きれいな内視鏡画像と病理画像をふんだんに使うとともに,非常にわかりやすいシェーマで解説を加え,著者らが若手内視鏡医に丁寧に教えようとする真心がこもった一冊と感じました。また,所々に「モテPoint !」,コラム,論文解説などが挿入されており,知識の整理と確認には最適の本であるとともに,読者を飽きさせない工夫がなされている凝った作りです。「モテ」という言葉が本書を含めた医学書に必要かどうかは,読者の感性次第と思いますが,著者らが若手内視鏡医の向学のきっかけにと狙った意図は十分感じ取れ,著者らの遊び心とも言えるでしょう。ただ,モテることがゴールではなく,本書を通読し最良の診断ができるスキルを身につけることが最終的には内視鏡被検者のためにつながることを忘れてはならないですね。

 さて,本のサイズと分量も,豊富な内容にもかかわらずハンディータイプで本文は250ページ以内に抑えてあり,若手内視鏡医が検査室に気軽に持ち運べるという配慮が憎いですね。これだけの内容をコンパクトにまとめられ,著者らの理解力と解説力がいかに素晴らしいかが垣間見られるだけではなく,若手内視鏡医にとって冗長になりがちな内視鏡診断の解説をわかりやすく端的に説明する基礎力につながると期待されます。内視鏡診断学の理解を深めるとともに,日常臨床のスキルアップのためにも,若手内視鏡医必読の書と思います。

A5・頁256 定価:本体4,500円+税 医学書院
ISBN978-4-260-02848-6


高次脳機能がよくわかる
脳のしくみとそのみかた

植村 研一 著

《評 者》河村 満(奥沢病院名誉院長)

語り掛けるようにわかりやすく「脳」や高次脳機能を教える

 植村研一先生の『高次脳機能がよくわかる 脳のしくみとそのみかた』が出版されました。植村先生の数冊あるご著書の中で私が特に大切にしている2冊があります。『頭蓋内疾患の初期診療――頭痛/頭部外傷/脳卒中 一般臨床医のためのポイント集』(篠原出版,1977年)と『頭痛・めまい・しびれの臨床 病態生理学的アプローチ』(医学書院,1987年)です。いずれもわかりやすい本として評判になり,多くの話題を提供した,いわゆる「売れた」本であったと思います。これらのご著書の出版から実に30年ないし40年経った2017年,『脳のしくみとそのみかた』は出版されたことになります。植村研一先生はもともと脳外科医であり,若いときには神経生理学を英国で学んだ方で,浜松医大教授時代には高次脳機能障害研究に特別のご興味を持っていらっしゃいました。この本は先生が書きたいと思ったことが皆書かれており,前著同様,「売れる」本になることは間違いないと感じます。その理由は三つあります。第一に独特な本の組み立て方,第二に平易な表現,第三にユニークな図表です。

 内容を目次に沿ってご紹介します。本文は全部で121ページですが,11の項目から成っています。「1.脳と心」「2.大脳半球は3つに分ける」「3.中枢神経系の統合機構」「4.『知』をつかさどる感覚統合脳のしくみ」「5.『意』をつかさどる表出脳のしくみ」「6.感覚統合脳と表出脳の役割のまとめ」「7.辺縁系(感情脳)のしくみ」「8.記憶学習の脳内機構」「9.大脳半球の左右差」「10.脳内機構からみたリハビリテーション」「あとがきにかえて 脳内機構からみた教育への提言」というとてもユニークな構成です。教科書的では少しもなく独特で,脳関連の一般書にもこのような組み立ては見たことがありません。脳を知りたい人が必ず疑問に思うことが順番に配置されているのです。

 第二に,とてもわかりやすく,会話調の表現法で,ポイントをついた説明が随所にみられることにあります。所々にあるColumnや症例の記載も,本文の説明をより具体的に理解することのできる,わさびが効いた内容を持っています。

 第三に,図表がユニークです。今まで見たことがない,でもとても工夫がなされたものが多く,図表を追っていくと,植村先生のご講演の様子が目に浮かぶようです。そう,たぶん植村先生はこの本をまるで誰かに語り掛けるようにお書きになったのではないでしょうか。

 さながら,お孫さんに植村研一おじいさんが語り掛けているような,そのような感じの本なのです。脳や高次脳機能に興味をお持ちのドクターだけではなく,多くの方々に一読をお勧めしたいと思います。

A5・頁136 定価:本体2,800円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03195-0


SCID-5-PD
DSM-5パーソナリティ障害のための構造化面接

Michael B. First,Janet B. W. Williams,Lorna Smith Benjamin,
Robert L. Spitzer 原著
髙橋 三郎 監訳
大曽根 彰 訳

《評 者》西村 勝治(東女医大教授・精神医学)

研究・臨床の両面で役立つ実用的診断ツール

 パーソナリティ障害診断のゴールデンスタンダードの日本語版が上梓された。前身である『SCID-II――DSM-IV II軸人格障害のための構造化面接』と同じ訳者の手による。本書にはDSM-5に準拠した「ユーザーズガイド」「評価者質問票(SCID-5-PD)」「患者自己記入シート(SCID-5-SPQ)」が収載され,大変実用的で活用しやすい構成となっている。

 パーソナリティ障害の臨床的インパクトは大きい。これを適切に把握することの重要性は,臨床家であれば誰もが実感する。しかし評価,診断は必ずしも容易ではない。さらに根本的な課題としてパーソナリティ障害の概念化を巡る歴史的な議論の存在は周知のとおりである。DSM-5では,DSM-IV-TRのパーソナリティ障害の診断基準がそのまま踏襲されると同時に,「パーソナリティ障害の代替DSM-5モデル」が特例的に付記され,さらなる研究が求められている。これまでのカテゴリカルモデルからディメンショナルモデルへの,産みの苦しみがそこにある。両者のハイブリッドといわれる代替モデルは,特定のパーソナリティ障害の診断名に,パーソナリティの機能や特性に関する情報を特定用語を用いて併記することによって,パーソナリティの病理の系統的評価を可能にすることを試みている。米国立精神衛生研究所(NIMH)のResearch Domain Criteria(RDoC)とも連動しながら,この新モデルはさらに洗練されていく方向にあるだろう。

 本書にもこのディメンショナル・アプローチが反映され,さまざまな工夫がなされている。例えば,「診断サマリースコアシート」では各パーソナリティ障害の診断項目に対する評価得点をディメンション的に用いることができる。

 また,本書は臨床でスムーズに使用できるようにも配慮されている。例えば被験者とのラポールを形成しやすくするために,SCID-5-PDを用いた評価はDSM-5の配置とは異なり,回避性などのC群パーソナリティ障害から始まり,B群の反社会性パーソナリティ障害が最後に評価される。

 評価時間を短縮するために,スクリーニングのためのSCID-5-SPQを用いることもできる。あらかじめ被験者に回答してもらい,「はい」と答えた項目に関してのみ評価者が質問すればよい。また,特別に関心のあるパーソナリティ障害だけを取り出して評価することもできる。

 SCID-5-PD日本語版がわが国の精神医療にもたらす貢献はとても大きい。何より,訳文が素晴らしい。正確で,かつ大変こなれた翻訳である。この種の翻訳では正確さを期すためにback translationを経て不自然な日本語になることが多いが,本書の質問項目は自然な臨床場面で投げ掛けられる質問のように被験者には聞こえるだろう。このため,研究目的だけでなく,日常臨床においてもストレスなく用いることができる。診断ばかりでなく,これまで気が付かなかった患者のパーソナリティの機能や特性が浮かび上がり,大いに患者理解に役立つことだろう。そのようなツールとして臨床の中でこそ,ぜひ,活用してほしい一冊である。

B5・頁184 定価:本体5,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03211-7

関連書
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