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第3236号 2017年8月21日


【特集】

新専門医制度の開始に向けて


 2018年4月の新専門医制度スタートに向けて,専攻医登録を10月に開始する意向が日本専門医機構から示された。厚労省や都道府県協議会での議論がまだ残るものの,研修医の立場としては万全の準備を整えておきたいところだ。本紙では,当該の2年目研修医に向けて,応募フローに基づく注意点や,昨年までの議論からの変更点,現在検討中の事項について解説する(関連インタビュー)。


 新専門医制度は,19の基本領域で構成される「基本領域専門医」と,基本領域専門医の取得後に選択できる「サブスペシャルティ領域専門医」の二段階制となる(図1)。これまでの専門医制度は各学会が独自に運用していたが,新制度下では中立的な第三者機関(日本専門医機構)によって,専門医の認定と研修プログラムの評価・認定が統一的に行われるようになる。

図1 新専門医制度の基本設計
(註:上記サブスペシャルティ領域は現時点で連動研修を含め承認されているもの。今後追加・変更の可能性がある)

 原則として研修はプログラム制で,年次ごとに定められたプログラムに則って研修を行う1, 2)。研修先は基幹施設と1つ以上の連携施設病院からなるため,基本的には複数の病院で研修を行うことになる。

まずは専攻医登録,応募は1プログラムに限定

 研修プログラムの応募フローは図2のとおり。以下,各Stepにおける留意点を解説する。

図2 研修プログラム応募フロー
(註:日程は大幅な変更があり得る。日本専門医機構のWebサイトを適時確認のこと)

Step①プログラム閲覧
 研修プログラムは,総合診療専門医は日本専門医機構,他18基本領域は各学会のWebサイトでの掲載となる見込み。開示は各学会が行うプログラムの一次審査後を予定している。時期は領域によって異なると予想されるため,希望する領域(学会)のWebサイトをチェックしたい。公開次第,希望プログラムのリストアップを開始し,見学スケジュールの調整を始めたい。

Step②専攻医登録
 研修プログラムに応募するためには,まず専攻医登録をする必要がある。登録開始は,日本専門医機構によるプログラムの二次審査後の10月1日を予定。専攻医登録も,総合診療専門医は日本専門医機構,他18基本領域は各学会のWebサイトから行う。入力事項は,在籍中の臨床研修プログラムや医籍登録番号,連絡先メールアドレスなど。
 専攻医募集は年次ごとに行われるため,登録期間を過ぎると翌年までは応募できないので留意してほしい。

Step③一次登録に応募
 総合診療専門医は日本専門医機構,他18基本領域は各学会のWebサイトから一次登録に応募する。臨床研修マッチングとは異なり,応募は「1領域の1プログラムに限る」ことに留意したい。二重応募はできない。
 プログラムの応募状況は,締め切り期日まで確認することができる。期日までに最終的な応募先を決めよう。

Step④試験・面接など
 プログラムごとに試験や面接が行われる(選考基準は各プログラムで規定)。プログラム統括責任者などから試験・面接の案内が来るので,それに従って準備することになる。案内の時期は日本専門医機構および各学会Webサイトの応募ページに記載される。予定時期を過ぎても連絡がない場合は応募した基幹施設に問い合わせよう。

Step⑤採用
 採用試験の結果が通知される。プログラム統括責任者はこの段階で,日本専門医機構の専攻医データベースに採用結果を入力する。

 一次登録で不合格となった場合,あるいは合格を辞退した場合は,二次登録に進む。二次登録で研修先が決まらなかった専攻医は各プログラムの基幹施設等に直接連絡を取り,採用枠に余裕があれば選考を受けられる。

サブスペシャルティとの連動研修(並行研修)が可能に

 次に,現在検討されている事項について解説する。

基本領域の「ダブルボード」は可能か?
 2つ以上の基本領域の専門医を取得する「ダブルボード」は認められることになった。複数の基本領域専門医の研修を同時に行うことは認められないが,いずれかの基本領域専門医を取得した後に,別の基本領域専門医の研修を行うことは可能だ。臨床研修修了後,最初に取得する専門医の研修は原則としてプログラム制だが,2領域目以降の基本領域はプログラム制とカリキュラム制のいずれでも可とされる。

 すでに取得した専門医研修での修得事項のうち,基本領域同士が互いに認めたものは次の専門医研修に積み上げることができる。例えば,総合診療専門医研修で行う内科研修において,日本内科学会提供の専攻医登録評価システム「J-OSLER」を用いて記録を取ることにより,内科専門医取得時の経験症例としても登録でき,1年間の内科研修が免除となる見込みだ。逆に内科専門医取得者が総合診療専門医を取得する際にも認められる。J-OSLERは,日本内科学会が認定した基幹施設,連携施設において,日本内科学会の指導医が指導する場合のみに用いられるため,応募時によく確認しよう。

 なお,臨床研修で修得した事項も基本領域研修で修得すべき事項に含むことができる。また,基本領域研修の修得事項はサブスペシャルティ研修に積み上げられる。

基本領域とサブスペシャルティ領域の関係は?
 基本領域とサブスペシャルティ領域との連動研修(並行研修)が可能になり,サブスペシャルティ専門医取得までの所要年数が短縮できることになった(図3)。現時点で承認されているサブスペシャルティ領域は内科13領域,外科6領域であり,連動研修を認めている。その他のサブスペシャルティについては日本専門医機構での検討が続いている。

3 内科専門研修とサブスペシャルティ専門研修の連動研修(並行研修)の概念図(日本内科学会ウェブサイト3)より一部改変)(クリックで拡大)

 サブスペシャルティ領域の総数および,どの基本領域専門医を取得するとどのサブスペシャルティ領域専門医への道がひらけるのかという「一階と二階の紐付け」の最終的な結論は出ていない。複数の基本領域にまたがる分野を希望する研修医にとっては悩ましい点だろう。

プログラムの中断やカリキュラム制の希望は基幹施設等の相談窓口に
 新専門医制度はプログラム制が基本だが,出産,育児,介護,留学など,相当の合理的な理由がある場合にはカリキュラム制も選択できる。申し出先として基幹施設等には相談窓口が設置される。窓口に相談したものの有効な研修が行えないと専攻医が判断した場合は日本専門医機構にも相談できる。

 以上,本稿執筆の8月上旬時点での情報をもとに解説した。最新の情報は日本専門医機構および各学会のWebサイトにて確認のこと。

参考URL
1)日本専門医機構.専門医制度新整備指針(第二版).2017.
 http://www.japan-senmon-i.jp/news/doc/170602sinseibisisin_ver2.pdf
2)日本専門医機構.新専門医制度概説とQ&A 平成29年5月12日版.
 http://www.japan-senmon-i.jp/news/doc/Q%EF%BC%86A%205.12_Ver2-2.pdf
3)日本内科学会.内科領域 プログラム作成に関するポイント.2016.
 http://www.naika.or.jp/jsim_wp/wp-content/uploads/2016/12/point.pdf
4)日本専門医機構.総合診療専門研修プログラム整備基準.2017.
 http://www.japan-senmon-i.jp/program/doc/comprehensive170707rev2.pdf