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第3229号 2017年6月26日


【短期集中連載】

伝わる!
医療者のためのスライドデザイン講座

勉強会や研修会,学会発表など,医療者にとって,スライド準備は切っても切り離せない作業です。どうすれば,見やすくて伝わりやすいスライドを作れるでしょうか。すぐに使えるデザインのルールとテクニックを短期集中連載でお伝えします。

[第2回]きれいに見せるデザイン

小林 啓(京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座精神医学教室)


前回よりつづく

 今回からいよいよデザインの技術についてお話ししていきます。キーワードは「整列」と「余白」です。この2つを押さえることで,見やすさと伝わりやすさがぐっと上がり,なおかつ見た目にもきれいなスライドを作ることができます。

とにかくそろえる!

 まずは「整列」について。これはデザインの基本であり,とにかくそろえられるところは全部そろえていきましょう。具体的には,位置,大きさ,形,フォント,間隔,色……など,いくらでもそろえるポイントがあります。そろっているほどスライドは整って見え,情報が多くなっても聞き手のストレスを減らすことができます。それでは次のスライドを参考に,実際にそろえていく過程を確認してみましょう。

テキストをそろえる

 情報がやや多めですが,テキストと画像の入った典型的なデザインのスライドです。今は要素を配置しただけの雑然とした状態ですので,最初にテキストのフォントと大きさをそろえましょう。

 フォントは1種類に限定する必要はありませんが,タイトル,小見出し,本文などでフォントをそれぞれ設定し,スライド間でも統一するようにしましょう。文字の大きさも同様にできるだけ統一をしてください。続いてテキストの位置をそろえます。

 ポイントは「端に見えない直線が現れる」ほど,ビシッときれいにそろえることです。行間をそろえることも大切で,本文の行間は狭く,小見出しと本文は少し空けるなどの工夫により,要素同士の関係がわかりやすくなります。

画像をそろえる

 続いて,画像をそろえていきます。

 画像の形と大きさをそろえる場合,必ずトリミング(画像の余計な部分を切り落とすこと)を行い,縦横の比を保って拡大,縮小をしてください。縦や横に無理やり画像を引き伸ばしてはダメです!

 次に画像の位置をそろえます。上下左右の端だけでなく,中心線や画像同士の間隔なども意識するととてもきれいに見えます。

 最後に,先ほどのテキストと合わせて出来上がりです。

 テキストと画像の関係もそろえることを忘れずに。整列の作業では,要素が多くなるほど手間が増え,調整も難しくなります。自分の手間を少なくするためにも,できるだけシンプルなスライドを作るよう心掛けましょう。

文字は大きいほど読みやすい?

 次に二つ目のキーワード「余白」についてです。スライド作りを教わる際,「読みやすくするため,文字はできるだけ大きく書け」という意見をよく聞きますが,本当に文字は大きいほど読みやすいのでしょうか? 例えば下のスライドを見てください。

 たとえ字を大きくしても,これでは余計に読みにくいですね。ここで大切になるのが,余白の考え方です。余白を埋めるのではなく,余白を意識したデザインができれば格段に見やすくなり,伝えたい情報をうまく際立たせることができます。

余白と強調

 それでは実際に,余白を使った強調の例を見ていきましょう。以下に示した3枚のスライドの上下のグレー部分には,他の情報が入っていると思ってください。

 テキストの特定の部分を強調したいとき,「太線にする」「色を変える」などの方法がよくとられます。今回はさらに文字の大きさで強調するため,まずは全体を小さくして余白をあけましょう。このときのコツとして,単位は数字よりもさらに小さくすると数字が目立ち,見た目もスッキリします。それから強調したい情報を大きくすることで,最も伝えたい内容がすぐに目に飛び込んでくるようになります。

 これだけ大きさを変えると先ほどの整列の話に反しているようですが,あくまで整列があってこその強調です。きちんと整っている中で意図的にバランスを変えることで,伝えたいことをいっそう際立たせることができるのです。

マージンをとりましょう

 余白について大切なテクニックをもうひとつ。スライドの四辺にマージン(外側の余白,斜線部分)をとりましょう。この余白を確保することで収まりがよくなり,画面が落ち着いた印象になります。「整列」で挙げた最初のスライドがマージンの取れていない例であり,最後のスライドではきれいに外側のマージンが確保されていることがわかります。

 余白については奥が深く,ここではとてもご紹介しきれませんが,大切なことは「余白がスライドの印象を左右する!」ということです。余白をただ埋めるのではなく意識をすることで,デザインの見方は大きく変わります。

 次回は「視線のコントロール」をテーマに,レイアウトや図表についてお話ししていきます。

つづく

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