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第3224号 2017年5月22日


高齢化時代に対応した新肺炎診療ガイドライン

第57回日本呼吸器学会の話題より


 日本呼吸器学会は成人肺炎診療ガイドライン2017(以下,新ガイドライン)を発表した。第57回日本呼吸器学会(4月21~23日,東京国際フォーラム)では,特別講演「新しい肺炎診療ガイドラインとは」を開催。新ガイドライン作成委員の迎寛氏(長崎大)が作成の経緯や特徴を述べた。

高齢者中心の医療・介護関連肺炎,院内肺炎にどう対応するか

迎寛氏
 肺炎による死者の96.8%は65歳以上の高齢者(2012年)であり,国内での肺炎による死者は悪性新生物,心疾患に次いで3番目に多い。このような現状に対応するべく作成された新ガイドラインの特徴は,①3つのガイドラインの統合,②高齢者肺炎への対応を重視した診療フローチャート,③「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に準拠したクリニカルクエスチョンとエビデンスに即した推奨,の3点。これまでは,市中肺炎(CAP),医療・介護関連肺炎(NHCAP),院内肺炎(HAP)それぞれに対する3つの診療ガイドラインが用いられてきた。新ガイドラインではこれらを統合し,単純・明瞭化を図った。また迎氏は,高齢化が進む日本の肺炎診療では②高齢者肺炎への対応が特に重要なポイントだと強調した。

 従来のガイドラインではCAP,NHCAP,HAPを問わず重症度に基づく治療方針決定が基本だった。しかし,疾患末期・老衰状態の高齢患者への抗菌薬の使用はQOLの低下をもたらす恐れがある。加えて,抗菌薬の効果よりも寝たきり度や栄養状態など患者の状態が予後をより大きく左右する,誤嚥性肺炎では死亡する危険度が高い,といった報告もあり,高齢患者が中心のNHCAP・HAPには,CAPとは異なる対応が必要だという。

 新ガイドラインの診療フローチャートでは肺炎患者をCAPと,NHCAP・HAPの二つに分類。CAPについては,敗血症の有無や重症度に応じて治療の場と使用すべき治療薬を推奨している。一方,NHCAP・HAPについては,易反復性誤嚥性肺炎のリスクが高い,または疾患末期や老衰の場合には患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアを選択するよう定めた。

 最後に迎氏は,新ガイドライン作成にあたってシステマティックレビューを担当した経験から,成人肺炎診療に関する国内のデータが乏しいことを指摘。新ガイドラインの検証と次期改訂に向けて日本発のエビデンスの創出が望まれるとの見解を示した。