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第3122号 2015年4月20日


第14回日本再生医療学会開催


 第14回日本再生医療学会が2015年3月19-21日,岡野栄之会長(慶大)のもと,「究極の再生医療」をテーマに開催された(会場=神奈川県横浜市・パシフィコ横浜)。本紙では,理事長講演,会長講演,基調講演で示された,再生医療の現状と臨床応用の展望を報告する。

◆日本の再生医療に注目が集まる

岡野栄之会長
 2014年9月,iPS細胞を用いた世界初の臨床研究が開始され,同年11月には改正薬事法と再生医療等安全性確保法が施行となった。“再生医療元年”とも呼ばれる2014年,日本再生医療学会はWorld Stem Cell Summit 2014において,International Leadership Awardを受賞した。同学会理事長を務める岡野光夫氏(東女医大)は,「この表彰は,基礎から臨床応用,産業化を想定した新しい産業連携,医工連携および患者救済のための行政との協働による社会基盤整備が,世界から大きな注目を集めていることを示すもの」と語った。

 改正薬事法の「早期承認制度」により,再生医療に関しては,数症例の治験により有効性が推定され,安全性が確認されれば,条件,期限を付して承認され,市販後に有効性とさらなる安全性を検証することとなった。安倍内閣が日本の再生医療を国際的な産業とすることを政策課題としていることからも,日本の再生医療に注目が集まっている。

 2014年に『Nature』誌が選ぶ科学で重要な役割を果たした「今年の10人」の一人に選ばれた高橋政代氏(理研)は,同年9月に世界で初めて行った,iPS細胞から作った網膜細胞での移植手術の経過が見込みどおりであることを報告した。氏は,より初期の患者に実施していけば,再生医療は一層効果的になるだろうとさらなる医療応用への期待を示した。西田幸二氏(阪大)による角膜上皮細胞移植,高橋淳氏(京大)による神経前駆細胞の自家移植による孤発性パーキンソン病の臨床研究は,早ければ2016年には開始されるという。会長の岡野氏も,4年以内に亜急性期脊髄損傷に対する臨床研究を開始すると報告している。

 一方,iPS細胞による再生医療を広く応用していくには,コストダウンが喫緊の課題である。自家細胞による移植は,病気が発覚してからiPS細胞の作製を行うため時間がかかり,個別に行われるために費用もかかる。あらかじめ大量に培養しておいた他家細胞による移植に移行することで,大幅なコスト削減が可能となる。欧米ではすでに他家細胞での臨床研究が中心となっており,高橋政代氏らも「免疫拒絶反応の問題解決に向けた動物実験で良い結果を得ている」と他家移植実現に向けた展望を示した。

 2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥氏(京大)は,免疫拒絶反応を起こしにくいHLAハプロタイプをホモ接合体として持つドナー由来のiPS細胞株をあらかじめ樹立しておく「医療用iPS細胞ストック」プロジェクトを進めていることを紹介した。まずは10人のドナーから,日本人の50%をカバーできるiPS細胞株を2年以内に樹立することを目標に掲げている。現在,臍帯血バンクや日赤事業との連携を進めていると語った。

 さらに,氏は,患者から樹立したヒト疾患特異的iPS細胞により,脂質異常症治療薬として用いられるスタチンが軟骨無形成症に有効な可能性があることが判明したと報告した。ヒト疾患特異的iPS細胞を用いることで,従来の動物実験よりも効果的・効率的な創薬スクリーニング,毒性試験や病態解明が見込める。また,安全性が証明された既存薬によるドラッグ・リポジショニングであれば,開発期間短縮・コスト削減が進むと期待を述べた。他の希少疾患・難病についても既存薬の効果の検証を行っていく方針だという。氏は「さらに研究が進めば,薬剤の効果や副作用といった個人差も,個人由来iPS細胞を用いることで事前に把握することが可能になるだろう」と締めくくった。

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