医学界新聞

2014.12.08



第22回総合リハビリテーション賞決定


杉山統哉氏
 第22回総合リハビリテーション賞の授賞式が9月24日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。今回は,杉山統哉氏(中部労災病院リハビテーション科)他「急性期脳卒中患者の歩行自立度と社会的サポートの関連――リハビリテーション患者データバンクの多施設登録データを用いた研究」〔総合リハビリテーション.2013;41(2):161-9〕が受賞した。

 本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官される折(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足。今回は,2013年発行の『総合リハビリテーション』誌に掲載された投稿論文40編を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 杉山氏らの論文は,リハビリテーション患者の多施設登録データを用いて,家族・友人などの介護者による社会的サポート(介護力)と歩行自立度の関連を明らかにしたもの。氏らは,入院時歩行不能で選択基準を満たした9病院813人の急性期脳卒中患者のデータを分析。その結果,介護力がない場合と比較して,介護力がある患者が歩行自立する確率は2倍となり,介護力は自宅退院のみならず歩行自立にも影響する可能性が示唆された。

 『総合リハビリテーション』誌編集顧問の伊藤利之氏(横浜市総合リハビリテーションセンター)は,「本研究は机上の研究と言えるが,家庭での介護力と歩行自立度との関連を直接的に解析しようとした点が,臨床に根差した素晴らしい着眼点であった。また,論文作成の技術という点においても高く評価された」と,授賞理由を述べた。受賞のあいさつに立った杉山氏は,「伝統ある総合リハビリテーション賞を受賞できたのは周囲の協力があったからこそ。この賞に恥じないよう,今後も努力を続けていきたい」と語った。

 『総合リハビリテーション』誌では本年も,掲載された投稿論文から第23回「総合リハビリテーション賞」を選定する。詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。

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