医学界新聞

2014.09.22



第18回日本看護管理学会開催


中村慶子大会長
 第18回日本看護管理学会が2014年8月29-30日,中村慶子大会長(愛媛大)のもと「地域包括ケア時代の看護マネジメント」をテーマに開催された(会場=松山市・ひめぎんホール他)。本紙では,パネルディスカッション「入院基本料に関する確かな知識に基づく看護管理者の経営参画」(座長=日看協・福井トシ子氏,獨協医大・佐山静江氏)の模様を報告する。

入院基本料に関する正しい知識を

 2006年度の診療報酬改定以降,入院基本料の届出基準が「患者数に対する看護職員の配置数」から「患者数に対する実際の勤務者数」へと変更になった。看護管理者は,入院基本料の要件を正しく理解した上で人的資源管理を行うことが求められる。しかしながら,書類の虚偽作成や不正請求の疑いが生じ,診療報酬の返還請求にまで発展する事例が見受けられる。

 齋藤訓子氏(日看協)は,入院患者数の計算方法,「看護要員」と「看護職員」の定義など,誤解しやすい例を提示。さらに,保険医療機関や保険医が保険診療を行う上で守らなければならない基本的な規則を定めた「療養担当規則」,「病院の入院基本料等に関する施設基準」を概説した。また保険請求の前には,「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第1号,平成26年3月5日)を再読し点検することを推奨した。

病棟再編と「診療報酬に強い看護管理者育成」

 医療機関の機能分化と連携をめざした2014年度診療報酬改定においては,7対1病床の9万床削減という数値目標のもと,「在宅復帰率」「重症度,医療・看護必要度」「平均在院日数」をはじめとする施設基準が厳格化された。病院としては,地域における機能明確化と病棟再編を迫られている。また看護部としては,事務部門と一体となった経営参画が求められている。

 田林義則氏(三友堂病院)は事務部門の立場から,自施設における地域包括ケア病棟の開設計画を報告した。同院では,(1)DPCによるシミュレーション,(2)看護必要度による業務量調査,(3)自院独自の看護業務量調査に基づく必要看護師数の算定を,看護部・人事企画部の協働で実施。その結果,現186床のうち54床が地域包括ケア病棟の対象となる一方で,看護体制は現行の7対1看護から「ほぼ変化なし」という試算になったことを明らかにした。

 看護部の立場からは森本一美氏(市立岸和田市民病院)が,「診療報酬に強い看護管理者育成」の試みについて紹介した。氏自らは,DPC対象病院への参画を機に,診療情報管理士の資格を取得している。さらに今年度診療報酬改定に当たっては,師長以上の看護管理者全員が院内外の関連研修に参加。重症度/医療・看護必要度システムの変更,診療報酬加算取得に向けた地域連携の推進など,看護管理者の経営戦略への参画に一丸となって取り組んでいると述べた。

 討論では,事務部門との協働,病棟看護師削減と他職種連携など,病床再編に向けての課題が議論の中心となった。最後に座長の福井氏は「環境の変化とそれに伴う意思決定については,管理者間で共有するだけでなく,スタッフにも丁寧に説明してほしい」として,看護管理者の経営参画における留意点を指摘した。

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