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第3014号 2013年2月11日


外来診療
次の一手

第11回】「朝から頭痛が続いているんです……」

前野哲博(筑波大学附属病院 総合診療科教授)=監修
小曽根早知子(筑波大学附属病院 総合診療科)=執筆


3010号よりつづく

 本連載では,「情報を集めながら考える」外来特有の思考ロジックを体験してもらうため,病歴のオープニングに当たる短い情報のみを提示します。限られた情報からどこまで診断に迫れるか,そして最も効率的な「次の一手」は何か,ぜひ皆さんも考えてみてください。


【症例】Kさん 42歳女性

つらそうな表情で入室してきた。

Kさん 「朝起きたときからずっと頭痛が続いているんです……」
Dr. M 「頭痛がするんですね。どの辺がどんな感じに痛むのですか?」
Kさん 「右後頭部がズキズキします」


バイタルサイン:体温35.9℃,血圧114/60 mmHg,脈拍68回/分(整)。

⇒次の一手は?

■読み取る

この病歴から言えることは?

 中年女性の頭痛の症例である。つらそうな表情から,比較的強い頭痛の可能性がある。朝からの数時間の経過であり,急性発症の頭痛を考える。「朝起きた時から」であり,睡眠中に突然発症した可能性も否定できない。片側性であることからは,片頭痛,神経痛などが考えやすいが,緊張型頭痛でも片側性のことがあり,これだけでは鑑別を絞りきれない。発熱はなく髄膜炎の可能性は低そうだ。体温以外のバイタルサインにも,特に異常はない。

■考える

鑑別診断:「本命」と「対抗」に何を挙げる?

 「本命=片頭痛」。急性の経過で,頻度も高く,日常生活に支障を来すほどの強い頭痛であればまず鑑別に挙がる。

 「対抗=緊張型頭痛」。頭痛の鑑別疾患の中では最も頻度が高い。ただし,緊張型頭痛は片頭痛ほど強い頭痛ではなく,数時間よりは数日の経過のことのほうが多い。

 「大穴=その(1):くも膜下出血,その(2):大後頭神経痛」。くも膜下出血は,突発,持続する頭痛では絶対に見逃せない。大後頭神経痛は,本命,対抗の2つより頻度は下がるが,比較的よく遭遇する疾患である。この神経領域の帯状疱疹のこともあり,その場合には特に見逃したくない疾患である。

■作戦

ズバッと診断に迫るために,次の一手は?

「痛みを感じない時間はありますか?」

 患者の「ずっと続いている」という訴えは,必ずしも持続痛とは限らない。詳しく話を聞くと,間欠症状の反復を意味している場合がよくあるので,必ずこちらから質問をして確認しておく必要がある。「ずっと続いている」が持続痛を意味しているのであれば,片頭痛,緊張型頭痛,くも膜下出血の可能性を考える。「ずっと続いている」が間欠痛の反復で,特に1回のエピソードの持続時間が1分以内であれば,神経痛の可能性が高い。

その後

 患者の「ずっと続いている」痛みは,瞬間的な電撃痛を1時間に10回以上反復する右後頭部痛であった。診察にて同部位に淡い紅斑を認め,触診でも誘発される痛みがあった。右大後頭神経の帯状疱疹の診断となり,抗ウイルス薬投与にて治療を開始した。

■POINT

患者の「ずっと続いている」は,「持続する間欠症状」のことがある!

つづく

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