医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第2963号 2012年01月30日

第2963号 2012年1月30日


都道府県のがん対策推進を考える


シンポジウムのもよう
 がん医療水準均てん化推進事業に基づく国際シンポジウム「わが国の都道府県のがん対策推進を考える」が2011年12月12日,国立がん研究センター国際研究交流会館(東京都中央区)にて開催された。本紙では,がん対策推進基本計画に基づき各都道府県でがん対策推進計画とそのアクションプランが策定されるなか,効果的ながん対策の進め方を議論したパネルディスカッション「わが国の都道府県のがん対策の進め方」(座長=国立がん研究センター・渡邊清高氏)のもようを報告する。

 最初に登壇した今井博久氏(国立保健医療科学院)は,各都道府県のがん対策推進計画の評価を目的に実施した調査について報告した。結果,各都道府県には「現状分析」「がん予防」「がん検診」などがん対策の各領域で大きな格差があることが示されたとして,がん医療の均てん化推進にはボトムアップしていくことが必要と強調。一方,各都道府県から国に求められていたのは,疫学や統計手法などの技術的支援,取り組みの情報交換の場,検診の具体的な事業案や研修会などでのサポートだったという。

 引き続き都道府県における取り組みとして,評価の高いアクションプランを策定している広島県と大阪府から,津山順子氏(広島県健康福祉局)と永井伸彦氏(大阪府健康医療部)がそれぞれ登壇。津山氏は,広島県地域保健対策協議会で「早く見つけてしっかり治す」をキーワードにがん対策を行っていることを紹介し,普及啓発の推進と受診しやすい環境づくりを両輪とした対策の内容を解説した。

 永井氏は,予防の推進・早期発見・がん医療の充実を重点課題に掲げて対策を進める大阪府の取り組みを報告した。不十分であった医療機関の連携・機能分担については,府独自の拠点病院を二次医療圏に複数設定することでカバーしてきたと説明。実効性のある計画策定のためには,各種統計・調査データの分析を適切に行い,現状を府民・関係者に提示できることが必須との見解を示した。

 清水秀昭氏(栃木県立がんセンター)は,都道府県でのがん医療の進め方についてがん診療連携拠点病院の視点から述べた。栃木県では,がん診療連携拠点病院や中核病院のほか,医師会,看護協会などの組織で構成した栃木県がん診療連携協議会を設置し,県で統一した研修会や相談支援ができるがん医療体制を構築しているという。また地域完結型のがん医療とするため,地域連携パス手帳で患者情報を共有し,地域連携マネジャーがサポートする取り組みを行っていることを紹介した。

 追加発言として,がん検診の進め方を小坂健氏(東北大大学院)が,また禁煙への取り組みを福田吉治氏(山口大)が報告。小坂氏は,検診受診率の向上には特定健診などとの連携や主治医による勧奨などの多角的なアプローチが大切とし,各自治体は受診率向上と精度管理を両輪として"がん検診対策"を進めるべきとの考えを示した。福田氏は,屋外の喫煙所を出入口から10 m以上遠ざける「10 mルール」や医学生・看護学生への喫煙防止教育など山口県におけるタバコ対策を紹介するとともに,地域でのタバコ対策推進には公衆衛生専門家の本気度が重要と訴え,それが市民意識の向上や政治的意思決定者の決断につながっていくと結んだ。