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第2901号 2010年10月25日


第18回総合リハビリテーション賞決定


野間知一氏
 第18回総合リハビリテーション賞の授賞式が2010年9月13日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。今回は,野間知一氏(鹿児島大病院霧島リハビリテーションセンター),川平和美氏,他の「脳卒中片麻痺上肢の痙縮筋への振動刺激痙縮抑制療法と促通反復療法との併用による麻痺と痙縮の改善効果」(『総合リハビリテーション』37巻2号,2009年)が受賞した。

 本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する折(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足した。今回は,2009年発行の『総合リハビリテーション』第37巻に掲載された投稿論文53篇を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 麻痺の改善を妨げる要素として,麻痺肢を動かし続けるうちに次第に運動速度と運動範囲が小さくなる痙縮という現象が知られている。麻痺が軽度まで改善しても日常生活には支障が残るほか,リハビリでも痙縮を解きほぐすためのマッサージに多くの時間が割かれ,本来のリハビリが進まない現状がある。改善がプラトーに達した患者によくみられる状態の一つだ。

 論文では,痙縮を緩和し,改善がプラトーに達した後も回復を前進させることが可能であることが示唆された。方法は,とてもシンプルだ。まず,痙縮がみられる上肢にバイブレーターで5分間刺激を与える(振動刺激痙縮抑制療法)と,痙縮筋は一時的な強い収縮を経て痙縮減少状態に入り,それが30 分間ほど 持続する。この30分の間に,促通反復療法を行う。論文によると,この2つの療法を2週間併用して実施することで,簡易上肢機能検査(STEF)とModified Ashworth Scale(MAS)でそれぞれ有意な改善がみられたという。

 『総合リハビリテーション』編集委員の木村彰男氏(慶応義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター)は,「リハビリテーションでは,物理療法,運動療法など,さまざまな治療方法を試みるが,そのような方法により効果を見出したリハビリテーションの原点に立った貴重な臨床研究であり,脳卒中後の上肢機能に関する見直しに目を向けた着眼点が素晴らしい」と述べた。

 『総合リハビリテーション』誌では本年も,掲載された投稿論文から第19回『総合リハビリテーション賞』を選定する。詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。