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第2824号 2009年3月30日


第17回日本総合診療医学会の話題から

外来で積極的なHIV検査を


林純会長

 第17回日本総合診療医学会が2月28-3月1日,林純会長(九大)のもと,福岡市の九州大学医学部百年講堂にて開催された。本紙ではその中から教育講演「外来でのHIV感染者の早期発見」(長崎大・安岡彰氏)の模様を紹介する。

 米国では,HIV患者における日和見感染が適切な治療により減少傾向にあると同時に,抗HIV療法の発達により死亡率も同年代の平均生存率と同程度にまで低下している。しかし,日本では新規にAIDSを発症する患者が毎年増加していると安岡氏は指摘。また,わが国では保健所や検査センターなどでのHIV自主検査が推奨されているがそこでの発見は2割にとどまり,残りは医療施設で発見されるという。

 そのため,HIV患者の早期発見には一般医が日常診療における初診の段階で,疑わしい疾患をみた場合にHIV検査を行うことが推奨される。

 氏は,代表的なAIDS指標疾患としてニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス感染症,カンジダ症,結核などを挙げ,これらの疾患がみられた場合はぜひHIVを疑ってほしいと強調。それに関連し,外来でのAIDS指標疾患の鑑別についてのポイントを述べた。

 例えば,ニューモシスチス肺炎は画像のみでは急性間質性肺炎との鑑別が難しく,検査結果でも差が出にくい。唯一鑑別となりうるのが,真菌の血清マーカーであるβ‐Dグルカン高値で,急性間質性肺炎患者にルーチンでグルカンの計測を行えば鑑別は可能であるとした。そのほかにも,「異型肺炎ですりガラス状の陰影がみられた場合にはニューモシスチス肺炎を疑う」「結核,特に肺門や縦隔リンパ節の腫大がみられた場合はHIVを疑う(都市部では結核患者の数%がAIDS)」など,日常でみられる疾患・病態からHIV患者を見逃さないためのコツを示した。また,それら疾患・病態からHIVを疑った際に,「インフォームドコンセントは簡単に行う」「他の感染症検査とセットで説明する(クラミジア,マイコプラズマなど)」「“念のためはっきりさせておく”というスタンスで行う」など,患者にとってHIV検査の敷居を下げる工夫を行い,なるべく早い段階で検査を行うべきであるとの見解を述べた。