医学界新聞

2008.11.24

第16回総合リハビリテーション賞決定


 第16回総合リハビリテーション賞の贈呈式が9月18日,医学書院にて行われた。今回の受賞論文は,山田実氏(坂田整形外科リハビリテーション,現・京大大学院)・他「二重課題バランス訓練による歩容変化――健常高齢者を対象とした介入研究」(『総合リハビリテーション』35巻11号,2007年)。

 本賞は,『総合リハビリテーション』編集顧問の上田敏氏が東大を退官する折(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足した。第16回は,2007年発行の『総合リハビリテーション』第35巻に掲載された投稿論文41篇を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 受賞論文は,転倒予防のための訓練として,認知課題を行いながらバランストレーニング(二重課題訓練:dual-task training)方法を提案し,その訓練が歩行に及ぼす効果を検討したもの。今回の二重課題バランス訓練の結果,歩行能力は不変であったが,訓練前に二重課題歩行を行ったときにみられた不安定さは,わずか2週間の短期訓練で改善され,二重課題歩行下でパフォーマンスが低下する傾向を抑制可能であったことが,今後に有用な情報を与えてくれると結論づけられている。

 選考理由について,編集委員の橋本圭司氏(慈恵医大)は,「近年,加齢によって二重課題下での歩行や立位保持などの能力が低下することが注目されているなか,その評価にとどまらず,能力を維持するべく,具体的なバランス訓練を考案したことに価値がある」と評した。

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