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第2791号 2008年7月28日


第42回日本作業療法学会開催


 第42回日本作業療法学会が6月20-22日,長尾哲男会長(長崎大;写真)のもと,長崎市・長崎ブリックホールにて開催された。テーマを「生活文化の創造と伝承」とした今回は,作業療法領域の新しい変化への“主体的な対応と創造”の理念のもと,世界の作業療法の現在を知るWFOT(世界作業療法士連盟)シンポジウムをはじめ,多彩なプログラムが企画された。

生活の背景にある文化を見て,作業療法を創出する

 学会長講演で長尾氏は,作業療法士が役割を果たすためには,生活の背景となる文化への視座が不可欠と強調した。トイレタリー機器,電気炊飯釜,テレビなど,生活スタイルを変える直接的な引き金は,メーカーによる新製品開発である。これらに対しては当然,作業療法士として常にアンテナを立てておかねばならない。しかし,それだけでよいのだろうか。氏は衛生観や家事労働観の変遷を例に挙げ,文化に論及した。そして,生活援助サービスの選択肢を創出するのが作業療法士である,と結んだ。

ADLに作業療法マインドを入れて,利用者を幸せにする

 教育セミナーのひとつ「社会生活行為学の概念と臨床(地)応用」では,濱口豊太氏(埼玉県立大)が登壇。氏を中心に提唱されている“社会生活行為学”の定義などについて言及した。

 作業療法を伝承し創造していくためには,遺伝子→個体→集団の各レベルで利用者を捉える必要があると説明。個体と集団が経験し獲得したものや本来なら経験できたことが突然または徐々に失われ,ADL機能が障害された利用者を支援していくことが作業療法士の重要な役割であると語った。その役割を踏まえたうえで,社会生活行為学とは,(1)ヒトの身体機能と心理・精神機能,(2)個人に属する基本行為,(3)家族と関係する行為,(4)社会と関連する行為,の4つを基盤に,時間・空間・人・経済・文化などの軸から行為を確認し,作業療法手段の提示,さらには効果判定へと結びつけるものであると定義。ADLを軸とした生活支援の方略を追求するために必要なもので,作業療法の羅針盤としての役割を果たすものになり得るのではないかと指摘した。

 社会生活行為は個人生活行為,家庭生活行為,社会生活行為を内包したものである。すべての行為に作業療法がかかわることで新しい行為(生活)が生まれ,利用者は幸せになれると強調し,本講演を締めくくった。