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第2727号 2007年4月9日


質の高い医療を提供するための最初の一歩

「第1回聖ルカ・アカデミア」開催される


 病院内のいろいろな部署のスタッフが,日常診療や業務の中から浮かんだ疑問やアイデアをもとに,自ら研究をデザインし,まとめる。自分の専門だけでなく,違う分野の人がどんな研究を行っているかも,お互いの発表を通じて知ることができる。病院スタッフによるこうしたユニークな研究発表会が,3月10日,聖路加国際病院で「第1回聖ルカ・アカデミア」として開催された。土曜日の朝から夕方までの一日,熱気あふれる400人以上もの病院職員が参加し,全国規模の学会並みのスケールで行われた。


研究を通して仕事の改善を

 はじめに大会長の福井次矢院長が次のように挨拶した。

 「抄録集をみて自分自身が把握していない仕事もあり,ぜひ聞きたい演題がいくつもある。今回の研究発表の最大の目的は,聖路加国際病院の中での仕事を改善することである。診療,看護,その他の仕事の内容を変えていこうと,誰もが思えるようなデータを引き出すことがこのアカデミアの最大の目的である」。

 大学病院を除く研修病院の中で,研究論文が発表されている数を調べたところ,虎の門病院が500で断然多く,2番目が国立国際医療センター,聖路加国際病院は3番目で2桁だったという。福井氏はこうしたデータを示したうえで,「論文を書くことが至上目標ではないが,自分たちの仕事の内容を改善していく試みを正しく記録に残していけば自ずと論文に結実していくはず。そのためのサポートチームを強化していこうと思っているので活用していただきたい」と期待を語った。

秀逸だった研修医による発表

 こうして始まった今回のアカデミアのセッションは,「治療」,「DPC・クリニカルパス」,「医療情報・予防」,「災害・チーム医療」,「サービス」,「ケア」,「教育」,「栄養・業務改善」,「検査」,「安全・リスクマネジメント」,「研修医業績発表」と院内のあらゆる職種から多岐にわたる84題もの研究発表が行われたのが特筆される。それぞれの発表に対して座長やフロアから演者一人ひとりに丁寧な質問が出されていたのも印象的だった。中でも「研修医業績発表」は,卒後2年目の研修医による臨床研究成果の発表であるが,その内容のレベルは全国規模の学会発表にも耐えうるような高いレベルであり,超多忙な初期研修医が行った研究内容とは信じがたいほどであった。

 単一病院でこのようなハイレベルの臨床研究や看護研究が次々と発表される背景としては,聖路加国際病院の研究サポートを行っている聖ルカ・ライフサイエンス研究所の臨床実践研究推進センターの役割が大きいようである。アカデミアの最後に,「院長賞」や「座長賞」などのさまざまな表彰式が行われ華を添えたが,このアカデミアが,わが国で質の高い医療を提供するための最初の一歩として高く評価されるのは間違いない。