第2765号 2008年1月21日


第9回「コミュニケーション・患者満足訓練コース」開催


 第9回「コミュニケーション・患者満足訓練コース」が日本医療事務センター本社ビル(東京・秋葉原)にて2007年9月23−24日に開催された。近年,良好なコミュニケーションは患者満足度を上げ,医療の質を向上させるとしてその重要性が注目されている。しかしこれまでは,「コミュニケーションスキルは医師の臨床能力の本質ではない」「先天的な能力なので改善しない」といった誤った認識のため,体系的な学習が行われてこなかった。主催者のひとりである箕輪良行氏(聖マリアンナ医大)は,「体系的な教育を受けていない中堅・ベテラン世代こそ,少しのトレーニングでめざましい効果がある」と語る。

オープンエンドクエスチョンで沈黙に耐える
 講習会では,基本的なコミュニケーションスキルの講義に続いて,ファシリテーターが「悪い診療」「いい診療」をデモンストレーション。参加者が「主訴を要約して確認していた」「感情に共感できていた」と意見を述べた後,実際にグループに分かれてロールプレイングを行った。ポイントは,それをビデオカメラで録画し,ファシリテーターやSP(模擬患者)も一緒に振り返る点だ。自分の診療場面を客観的視点から見ることで,普段気づかない「診療上のクセ」に気づくことができる。また,患者の自主発話を促すオープンエンドクエスチョンでは「沈黙に耐える」ことが必要だが,診療中の医師には非常に長く思われる「間」も,他の参加者から見るとそう長い時間ではない。ビデオを確認することでこのような客観的な時間の流れも実感できる。さらには与えられたシナリオ,検査データは同じでも,訴えの引き出し方で診断結果が変わるケースも見受けられた。SPからのフィードバックでも「本当に訴えたかったことは別にあったが,言い出せなかった」という意見もあり,患者が言い出しにくい家族内の問題などでは特に,きめ細やかな訴えの聴取や患者の言葉の裏にあるものを読み取るなどの高度なコミュニケーションスキルが必要となるだろう。


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