医学界新聞

 

第6回看護教員「実力養成」講座開催される

解剖生理からわかるフィジカルアセスメント講義


 第6回看護教員「実力養成」講座(主催=医学書院)が,10月7日(大阪会場),28日(東京会場)の両日,行われた。6回目を数える本講座は,昨年に引き続き講師に山内豊明氏(名大教授・基礎看護学)を招き,「フィジカルアセスメント教授法――解剖生理と観察をどう結びつけるか」をテーマに行われた。ここでは28日に東京・サンケイプラザホールで行われた講座の模様をお伝えする。

フィジカルアセスメントをいかに教えるか

 「生きていくのにどうしても必要なことは,意識せずに行われます。例えば呼吸,循環。呼吸は少し特殊で,息を止めたり,多少コントロールすることが可能ですが,循環に関しては意識下でコントロールすることはほとんど不可能です。人にとって必要不可欠な酸素を体内に行き渡らせる“循環”という働きは,それだけ身体にとって重要なものだということです」

 4時間にわたるこの日の講義は,山内氏の軽妙な語りと,豊富なスライドによって滞りなく進められた。

 講義内容は終始一貫して,循環器についての解剖生理をいかにフィジカルアセスメントにつなげていくかという視点に貫かれていた。例えば,循環にかかわるフィジカルアセスメント項目についても「心音は血液を送る大元である心臓の働き,サチュレーションモニターは血中の酸素濃度,脈拍は身体の各部に血液が行き渡っているかどうかを示しています」と解説し,項目それぞれが持つ情報の意味の違いを強調した。

 山内氏は,神経内科医として臨床経験を積んだ後,ニューヨーク州ペース大で看護学を学び,登録看護師免許・看護学博士まで取得した異色の経歴の持ち主。看護教員を中心とした参加者は,氏が時折織り交ぜる「看護学生にいかに教えるか」という教育論にも強い関心を寄せた。

 「学生は“いま学んでいること”がどこにつながるのかがわからない。私たち教師にできることはいかにして医療・看護で学ぶべきことの見取り図を与えるかということ」という山内氏の言葉に,400人の参加者は深くうなずきながらペンを走らせた。