さる10月20-21日,第8回日本救急看護学会が,阿久津功会長(温和会会津中央病院)のもと,會津風雅堂(会津若松)にて開催された。大会テーマは「救急看護の進展に向けて――互いの専門性を生かして」。救急医療に携わる医師をはじめ,救急救命士や理学療法士等さまざまな職種間の交流の場も設けられたほか,精神科看護を専門とする看護師たちの講演もあり,救急看護の進展に向けた幅広い知識・技術の習得・向上がはかられた。
病院前救護の話題として,数年前の学会ではAEDに関する展示がさかんに行われていたが,今学会ではドクターヘリが注目を集めた。メイン会場より徒歩2分ほど離れた陸上競技場には,ドクターヘリの実物が展示され,多くの参加者が飛行体験を希望。関心の高さをうかがわせた。
国土面積の狭い日本にはドクターヘリは不要という意見もあり,現在は全国でわずか10機しか設置されていない。ランチョンセミナー「病院前救急医療とドクターヘリ」に登壇した野口宏氏(愛知医大)は,救急車でたらいまわしにされる現状を見れば,「迅速に適切な医療機関に搬送するためにはドクターヘリの存在は欠かせない。ドクターヘリの日常化には少なくとも日本中で66機が必要」と主張した。
一方,AEDの普及については,日本救急医学会代表理事である山本保博氏(日医大)が特別講演の中で「以前より普及したとはいえ,AEDの配備数は4万4000台(8月現在)であり,約50万台を配備している米国のわずか10分の1」と述べるなど,2005年の愛知万博以降,イベント会場等での設置が浸透しつつあるが,まだ一般的になったとはいえないようだ。
シンポジウム「救急患者・家族のメンタルアセスメント」では,そうした患者・家族へのメンタルケアの難しさや,ジレンマを抱く看護師が非常に多いことが浮き彫りとなった。メンタルな側面は一人ひとり異なるため,アセスメントもケアも答えが1つとは限らず,その対応が非常に困難である。また精神科との連携についても,重要なオプションとして,議論が交わされた。
学会総会の発表によると,2007年から年2回,JNTECセミナーが開催されるとのことであり,今後,JNTECへの注目が高まることが予想される。
次回の学術集会は寺師榮会長(大阪府済生会千里病院)のもと,ホテル阪急エキスポパーク(大阪府吹田市)にて11月9-10日に開催される。