医学界新聞

 

OSCE,PBLをPT・OT教育に

養成校の教員向け公開講座を群馬大で開催


 さる9月2-3日の2日間にわたり,群馬大主催の専門職向け公開講座「実践能力を高める学内教育――OSCE,PBLの体験と作成を中心に」が,群馬県前橋市の群馬大医学部保健学科棟において開かれた。

 医療系の分野における教育では,実践能力を高めるための教育課程と実践方法に対する理解が重要であるが,それらを学べる機会は少ないのが現状だ。群馬大学では昨年より理学療法士・作業療法士養成校の教育者ならびに臨床実習指導者向けに公開講座を開催しており,好評につき本年も開催の運びとなった。当日は,全国から養成校の教員を中心に,臨床現場において臨床実習指導者を務める理学療法士,作業療法士も含めた約40名の参加者が集った。

講義を踏まえ,OSCE,PBLの体験と課題作成

 講座開催にあたり,まず内山靖氏(群馬大)が,群馬大においてすでに導入されているOSCE(客観的臨床能力試験),PBL(問題基盤型学習)の概略,実施の際の注意点,導入することで得られる効果などについて述べた。次に大橋ゆかり氏(茨城県立医療大)より,氏が教育現場において実践しているPBLの実際についての発表があり,また外里冨佐江氏(群馬大)からは,ペーパーペイシェントとポートフォリオの実験的使用について報告がなされた。2日目は,まず松本直人氏(東京医療学院)が専門学校(夜間課程)におけるPBLの試行について述べ,続いて潮見泰蔵氏(国際医療福祉大)より,大規模クラスにおけるOSCEの取り組みの実際についての発表がなされた。

 初日,2日目の両日とも,それぞれ後半の時間を使って参加者を6つの小グループに分け,実際のOSCEおよびPBLの課題作成をグループごとに行った。また,OSCE課題作成の際の事前説明では,群馬大が作成した公開用「理学療法版OSCE(3年評価)要項」が解説された。参加者からは「そもそもOSCEの課題作成自体に相当な労力が必要」との声もあり,教育の現場で現在OSCEの課題作成に取り組んでいる参加者にとっても,今回解説された要項は自身が取り組む指針として大変参考になったようだ。

 各参加者の所属する学校ごとのOSCE,PBL導入状況はまちまちであったが,導入に対する必要性の認識では一致しており,今後の広がりを予感させる講座となった。