医学界新聞

 

金原一郎記念医学医療振興財団贈呈式


 さる3月4日,医学書院本社(東京都文京区)において,金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)による「第20回研究交流助成金」および「第20回留学生受入助成金」の認定証贈呈式(第39回)が開催された。

 同財団では基礎医学の振興を目的として,(1)基礎医学医療研究助成,(2)研究交流助成,(3)留学生受入助成,(4)研究出版助成を行っている。今回は研究交流助成18名,留学生受入助成3名が選出された。

 開会に際し,金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は「本助成金は,今回で20年目を迎えることができました。海外に行き現地の研究者との交流・議論を深めていただき,日本の基礎医学の底辺を広げることにつなげていただきたい。そして今回の受賞を機に,さらに研究に励み,よい業績を残されるように」と祝辞を述べた。

 認定証の贈呈に続き,選考過程について同財団理事で選考委員長を務める野々村禎昭氏(東大名誉教授/微生物化学研究会理事長)が説明。「昔,われわれが海外に行く時は教室員全員が空港に見送りに来てくれて,行く以上はよい仕事をしなければならないという緊張感に包まれて行った時代だった」と振り返り,「海外に出て実際に国際学会の雰囲気を味わい,日本を見直してみることは非常に価値がある。ぜひ有意義なものにしてほしい」と激励した。

 これを受けて,受賞者を代表して挨拶に立った西田智氏(武蔵野大)は謝辞を述べ,さらに「現在,黄色ブドウ球菌の新規抗菌薬のターゲットとして,増殖に必須なタンパク質について研究を行っています。米国カリフォルニアで開かれる『New Antibacterial Discovery & Development』において,ペプチドグリカン合成にかかわる酵素のうち,新規抗菌薬のターゲットとなりうる酵素MurBについて酵素活性に重要なアミノ酸残基の同定,機能解析結果について発表してきます。研究発表にとどまらず,最先端の研究者との情報交換を通じて世界の動向を掴むとともに今後の研究に役立てたいと思っております」と抱負を述べた。