医学界新聞

 

地域でPT起業にチャレンジ

日本理学療法学術大会ランチョンセミナーの話題から


 第40回日本理学療法学術大会の会期中の5月27日,ランチョンセミナー「PT起業へのチャレンジ――いま求められる“地域リハビリテーションスピリッツ”」(協賛・医学書院)が開かれた。これは奈良勲氏(神戸学院大)を座長に,急成長をとげた地域密着型リハビリテーション施設「ふらむはぁとリハビリねっと」の代表取締役でPTの安倍浩之氏を演者に迎えて企画されたもの。“PTの起業”というユニークなテーマに,立ち見がでるほどの盛況となった。

 安倍氏は大学病院・公立病院で勤務後の2003年4月に「ふらむはぁとリハビリねっと」を,同年7月に訪問看護事業所を開設。翌年には居宅介護支援事業所や,通所介護とスポーツファッションジムの機能をあわせ持つ複合施設も開設し,現在は他府県への事業展開も構想している。セミナーでは,会社設立の手続きに必要な資金や設備,銀行との交渉の経過などを詳細に解説する中で,収支実績についても言及。1期目はマイナス収支であったが,それでも地域のリハビリニーズを踏まえてスタッフの増員を続け,翌年には黒字に転化した経緯を説明した。

地域リハ・スピリッツを大切に!

 職場管理や職員の精神構造の構築に関しては,「タイミングを計り,奇抜な発想に基づく斬新かつ堅実な事業に着手し,部下の活力を高める」「管理者はあらゆる情報を公開する」など成功の秘訣を語った。また,時代が求めるリハビリテーションスピリッツを熟考することの重要性を強調。例えば,訪問リハに関しては,利用者が回復期リハを十分に受けていない現状を考慮し,(維持期でなく)回復期リハのレベルで訪問リハを提供できるようにしたことを紹介した。会場からは起業に興味を持つ参加者からの質問が相次ぎ,PTによる地域リハビリテーションの新しい可能性を感じさせた。最後に奈良氏が,起業を志すPTにエールを送り,セミナーを閉じた。