医学界新聞

 

沖縄県立中部病院のオフ・サービスノート

本村和久氏(沖縄県立中部病院地域救命救急センター)


 聖路加国際病院と同じく,新臨床研修制度以前から研修医の異動が活発な沖縄県立中部病院では,引継ぎ時に「オフ・サービスノート」を義務付けている。同病院の指導医,本村氏に聞いた。


病棟主治医となる2年次からオフ・サービスノート義務付け

 研修医間の引継ぎは非常に重要です。当院は研修医なしでは業務が成立しないので,研修医間の引継ぎがうまくいかないと患者さんが困ることになります。

 1年次研修医の場合,基本的には病棟主治医にはならないのですが,1年次研修医独自で,その科の雑務の引継ぎノートを作成しています。内容は,採血や回診の準備物,処方箋を書く時期などで,科によって研修目標や業務内容が異なるため,ノートの内容も変わります。

 2年次研修医からは病棟主治医となります。1週間ごとのウィークリー・サマリーは「できるだけ書くように」という指示で義務ではないのですが,引継ぎ時の「オフ・サービスノート」は全科で義務付けています。

 当院の「オフ・サービスノート」は,基本的に聖路加国際病院の「to next Doctor」と同じ形式です。カルテの中に時系列で書く場合がほとんどで,既往と現病歴は入院時に書くもので省く場合もありますが,problem listはもっとも大事なのでしっかり書きます。

ポイントは,治療経過と根拠を記すこと

 前任者のカルテを読むだけでは要点がわかりません。少ない時間で引継ぎをしなければならないので,「オフ・サービスノート」が必要となります。それに,入院時の記録はたくさん残っていても,入院中の治療経過は研修医に余裕がないと十分に記述されない場合もあります。カルテに書いていないことを申し送るためにも,「オフ・サービスノート」が役に立つのです。

 よい「オフ・サービスノート」は,problem listが的確に列挙されていて,治療経過がそこに盛り込んであるものです。逆に悪い「オフ・サービスノート」は,例えば降圧剤の選択理由や抗生剤の適応など,検査や治療に関する根拠がまったくわからないものです。それらがproblem listごとにまとまっていると,非常にわかりやすい「オフ・サービスノート」ということになります。もちろん,自分が診てきた患者さんの状態を要約することで,研修医の実力向上に役立つとも考えています。