医学界新聞

 

第21回日本国際賞授賞式開催される


 日本のノーベル賞ともいえる日本国際賞(第21回)の授賞式が,さる4月20日,東京の国立劇場にて開催され,細胞生物学分野で竹市雅俊氏(理研発生・再生科学総合研究センター長)とエルキ・ルースラーティ氏(米国バーナム研究所教授),情報・メディア技術分野で長尾眞氏(独立行政法人情報通信研究機構理事長)が受賞した。

 竹市氏とルースラーティ氏は,組織や器官の構築において基本となる重要な現象である細胞接着,その中核となる機構の分子レベルの解明への貢献により受賞した。細胞接着分子の異常はがん転移などの多くの難病と深く関わり,原因の解明そして治療法の開発が期待される。竹市氏の発見した細胞接着分子は神経細胞間においても深く関わり,細胞接着分子の活性を抑えた動物において,さまざまな神経活動異常を引き起こすことがわかっている。このことから人の神経や精神の疾患の原因解明が期待される。

 長尾氏は,機械翻訳における日英・英日翻訳システムの基礎の確立とともに用例翻訳方式の提唱,画像の認識と解析ではフィードバック解析機構の導入,さらに電子図書館のプロトタイプシステム開発,の貢献により受賞した。

 日本国際賞は,国際科学技術財団によって全世界の科学者・技術者を対象に創設されたもので,「科学技術の分野において独創的で飛躍的な成果を挙げ,科学技術の進歩に大きく寄与し,人類の平和と繁栄に貢献した者」に贈られる。これまでの受賞者は今回の3人を含め58名,13か国に及ぶ。選考にあたっては,3年で循環する分野領域の中から2つの対象分野を決定して候補者を選ぶシステムで,来年は「環境・社会基盤」と「健康・医療技術」の2分野で選考される。