医学界新聞

 

座談会

医学英語をはじめよう!
先輩が教える医学英語学習のコツと落とし穴


司会・アドバイザー
齋藤 中哉さん
(ハワイ大学医学部医学教育コンサルタント,自治医科大学客員教授)

ご出席
吉田 和樹さん(亀田総合病院臨床研修医1年)
大野 真紀さん(東京医科歯科大学医学部5年)
矢萩 浩一さん(名古屋大学医学部4年)


 新学期を迎え,「今年こそ英語をなんとかしたい!」と意気込んでいる方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんのために,今回は本紙で「英語で発信! 臨床症例提示」を連載中の齋藤中哉さんと,英語学習に真摯に取り組んできた医学生,研修医の皆さんに,学生生活の中でどのように英語学習に取り組んでいくかについて,話し合っていただきました。「初心忘るべからず」今年こそ,頑張ってみましょう。


学習のコツ(1)はじめの一歩

齋藤 毎年春になると,将来を見据えて英語学習に取り組み始める医学生は少なくありません。医学英語の学習には2つのポイントがあります。第一に,適切な動機付け。第二に,困難に挫折しない継続。プロフィールを見るとわかるように,皆さんはすでに,適切な動機付けを獲得されているようです。はじめに,そうした動機付けを獲得できていない方,また,英語が嫌い,苦手という方へのアドバイスをお願いしたいと思います。

吉田 私の場合,ハワイ大学医学部のエクスターン研修でガツンとやられたことがきっかけです。それ以前にも増して,臨床医学を英語で勉強するようになりました。ただ,そこまでの大きな体験でなくても,動機付けになりうるものはたくさんあると思います。私の母校では,授業で配布される資料に英文が引用されていましたし,臨床実習で課される論文も英文でした。こういった授業や実習を通して,多かれ少なかれ英語の必要性を感じると思いますし,そうした授業への真剣な取り組みをめざすだけでも,十分に動機付けとなるのではないでしょうか。

大野 学生は大部分の時間を学内で過ごすわけですから,教育課程内に何らかの努力目標を見出すことは大切ですね。私は,それと同時に学外で英語に触れる工夫をすることも重要だと思います。低学年であれば,医学英語にこだわらず,自分の好きな映画,ドラマ,音楽といった世界から入っていくのがよいのではないでしょうか。

 もう1つは「ショック療法」です。英語で行われている勉強会に参加したり,キャンパスで出会う留学生たちと話をすることを通して,自分の英語力を認識すると,それを磨いていくことを決意するようになると思います。

矢萩 英語が得意な人,好きな人は,そういった機会をごく自然に見出すことができると思います。しかし一方で,英語が苦手な人,嫌いな人の動機付けは難しいのではないでしょうか。私は,必要性を感じていないのであれば,無理に機会を作ってまで英語を勉強することはないと思っています。というのも,医学生は,大学入学までの過程でそれなりに英語を勉強しているので,潜在的な能力はあるはずだからです。臨床医をめざす過程で,英語を勉強する必然性に出会ってからでも遅くはないと思います。

齋藤 吉田君と大野さんは,ともに海外留学経験がありますね。おふたりが指摘したように,大学の内外に広く機会を探すことが大切です。私が医学生・研修医だった十年前までは,個人で海外に研修先を探すことは至難の業でした。しかし,今やインターネットの普及により,時と場所を選ばず,海外からの情報が入手できます。医科大学や臨床研修指定病院では,短期や長期の海外派遣プログラムを独自に整備してきており,医学部1年生から参加が可能なものもあります。低学年の皆さんは,学務課に出向き,どのような海外研修の機会が用意されているのか調べてみるとよいでしょう。それを目標に,医学と英語の勉強に励むことができるのではないでしょうか。

 一方,矢萩君の指摘のように,「馬を川に連れて行くことはできても,水を飲ませることはできない」のかもしれません。私自身も英語が苦手でしたし,嫌いでした。しかしながら,求めていなくても,環境が人を変えていくということもあります。私の場合,京大時代に英国人教授と一緒に仕事をし,国際誌に論文を発表したことや,阪大時代に何人もの外国人と寮生活をしたことが大きかったです。置かれている環境の中でsurviveしていくために,次第に英語を使った生活に巻き込まれていきました。高校時代の私の英語担任は,私が現在,英語圏において教授職にあることを絶対に信じないでしょう(笑)。

学習のコツ(2) 好きなことに集中する

齋藤 いったん適切な動機付けを得て英語の学習をはじめたとしても,多忙を極める医学生の生活の中で継続させていくことは,なかなか困難なことだと思います。その点についての工夫をお聞きしたいと思います。

矢萩 私は,「集中」する時間を持つことの大切さを強調したいです。医学英語ではないのですが,「30音トレーニング・発音とリスニング」というDVDを,約2週間,毎日毎日聞いて,発音練習を繰り返したことがあります。私もそうですが,海外経験に乏しい方々にお勧めしたい方法です。

吉田 「集中」という意味では,私も2年生の頃,集中的に英会話の学校に通いました。多い時で,1回1時間弱,週4日ぐらい行きました。

大野 私は,高校時代,Aaron Spelling監督のテレビドラマ「Beverly Hills, 90210」を録画して,ひたすら観ていました。そうするとある時,「あ,この英語は全部わかるな」と思ったのです。「集中」も大切なのですが,やっていること自体がおもしろくて楽しいということも大事なのだと思います。

齋藤 私も,学生時代はひっきりなしに映画やTVドラマを英語で観ていました。一番のお気に入りはDavid Lynch監督の『Twin Peaks』。毎週1回,阪大大学院文学研究科博士課程に留学していた米国人と観ました。私の目的は英語を聞くこと,彼の目的は日本語字幕を読むこと,こんなに能率のよいlanguage exchangeは後にも先にも経験したことがありませんでした(笑)。好きなことに対しては枠をはめず,一時期,のめり込むということが上達の秘訣かもしれませんね。

落とし穴(1)資格試験を最初の目標にしてはいけない

齋藤 動機付け,継続というお話をお聞きしましたが,その前提には,よいテキストの存在があると思います。“Life is short. Art is long."という時間認識は大切です。向上心の旺盛な若い時代を無駄にしないためにも,尊敬できる上級生や指導医から,生涯使える勉強法や良書を推薦してもらいましょう。皆さんのお奨めテキストと,失敗談を教えてください。

矢萩 2年生の時に,USMLE(★1)対策本として有名な『First Aid』(★2)を読もうとしたのですが,2日で挫折しました。3日坊主にも及びませんでした(笑)。『First Aid』は試験向けの本なので,あまりに簡潔過ぎて,基礎医学を勉強しはじめたばかりの私には内容が把握できなかったのです。

大野 『First Aid』は,一通り学習を終えた人が最終確認を目的として読むのであれば,良書なのでしょう。同様に,低学年の方が,いきなりUSMLEの既出問題に挑戦することも,お奨めできません。

齋藤 日本の医学生は,英語を勉強する時,ともすればTOEFL(★3)やUSMLEを最初の目標として選択してしまいがちです。高校時代までに培った受験勉強のノウハウを単純に敷衍していくことができるという点では楽ですが,実は,これほどつまらない勉強はありません。一回限りの貴重な人生の時間の無駄遣いです。

 もちろん,これらの試験が留学や研修のための関門であることは事実ですから,それをめざす人はどこかで突破しなければなりません。しかし,前期課程2年終了時にUSMLE Step1を受験する米国の医学生は,1年生の時から本気で対策に取り組んでいるわけではありません。もっと広範な基礎勉強を行わなければ,そもそも大学の中で生き残っていくことができないのです。USMLEもTOEFLも,自動車運転免許の学科試験と同じで,必要ではありますが,臨床能力(clinical competency)をその点数で代替することはできません。本末転倒にならないようにしたいものです。

落とし穴(2)Bibleに最初から手を出してはいけない

吉田 逆に,試験対策本の対極にあるような例になりますが,やる気がある医学生は,非常に分厚い教科書,例えば,『Molecular Biology of the Cell』(Garland Publishing)や『Harrison's Principles of Internal Medicine』(McGraw-Hill Professional)の通読を試みがちです。しかし,これらの教科書はおもしろくないと思うし,たいていは長続きしません。いったん挫折してしまうと,英語を用いての学習全般が嫌いになってしまう可能性もあり,悪循環ではないかという印象を持っています。

大野 英語のテキストを読むのであれば,簡単な本から取り組むのがよいのではないでしょうか。私は,基礎医学の勉強にBoard Review Seriesの『Physiology』(★4)や『Pathology』(★5)を使いました。英語自体は難しくありませんので,医学英語に慣れるという意味でもおすすめです。大著の輪読会はどういうわけか成功しませんよね。

齋藤 「内科をめざすのであれば,学生時代からHarrisonやCecilに目を通すべきだ」といった叱咤激励を耳にしますが,私は賛成ではありません。米国でも,内科や家庭医学における若手指導医は,HarrisonやCecilを医学生やレジデントに強くは推薦しません。何百人という執筆者によって書かれているため,必ずしもすべての章や節が,すばらしい出来だというわけではありません。国際化の時代といわれながら,こういった情報は,なぜか日本では流布しませんね(笑)。

 もちろん,これらの大著は無価値ではなく,使い方を誤らないでほしいと言いたいのです。これらは「読む」書籍ではなく,学習課題が生じた場合に「調べる」ものです。通読できるわけもないBibleを,見栄を張って1頁目からめくることはやめましょう。

One-Point Advice(1)
 日本では,英語圏ではあまり読まれていない百科辞典的大著が,後輩に推薦されがちです。「読む」ための本と「調べる」ための本を区別してください。表1ではハワイ大学医学部1年生が活用している書籍をリストアップしました。3,4,5は調べるための書籍。手垢でボロボロになるまで読み込む1,2,6,7,8,9,10といった書籍群は,後年の臨床における卓越した症例検討能力の基礎として重要で,日本の医学生にも通読や精読をお奨めします。

表1 初公開!「ハワイ大学医学部1年生が活用している医学書:Top 10」
順位書名著者出版社出版年
1Physiology(Saunders Text and Review Series)(2nd ed.)L. S. CostanzoW. B. Saunders Company2002
2Pathophysiology of Heart Disease: a collaborative project of medical students and faculty(3rd ed.)L. S. LillyLippincott Williams & Wilkins2002
3Robbins & Corton Pathologic Basis of Disease(7th ed.)V. Kumar, N. Fausto, A. AbbasW. B. Saunders Company2004
4Current Medical Diagnosis & Treatment 2005(44th ed.)L. M. Tierney, S. J. McPhee,
M. A. Papadakis
McGraw-Hill Medical2004
5Atlas of Human Anatomy(3rd ed.)F. H. Netter, J. T. HansenICON Learning Systems2002
6Principles of Pulmonary Medicine(4th ed.)S. E. WeinbergerW. B. Saunders Company2003
7Clinical Microbiology Made Ridiculously Simple(3rd ed.)M. Gladwin, B. TrattlerMedmaster Inc.2001
8Lippincott's Illustrated Reviews: Pharmacology(2nd ed.)M. J. Mycek, R. A. Harvey, P. C. ChampeLippincott Williams & Wilkins2000
9Lippincott's Illustrated Reviews: Biochemistry(2nd ed.)P. C. Champe, R. A. HarveyLippincott Williams & Wilkins1994
10Gastroenterology(1st ed.)D. M. Heuman, A. S. Mills, H. H. McGuireW. B. Saunders Company1997
(注)2003-2005教育年度における集計結果です。辞書類は除外しました。

■医学英語が楽しく学べるテキスト選び

個人学習を成功させる秘訣

齋藤 2パターンの失敗を見てきましたが,ポイントは「使い方」を誤らないことですね。そういう意味では,個人学習とグループ学習とでは,目標,スタイル,教材が変わってくると思います。それぞれについて,お勧めのテキストや勉強法を教えてください。

吉田 個人学習では,私は日本語に逃げてしまわないように,教科書を全部英語にしていました。すべてを英語で理解することは不可能なので,日本語で行われる大学の講義を聴いて,その後,自分で勉強する時には,英語の教科書を使うのです。学内の試験にも合格しなければなりませんので大変でしたが,日本語の講義で概念を理解して,英語の教科書で復習するというサイクルを自分の中に作り上げたことはとてもよかったと思っています。

齋藤 吉田君が意識して行った日本語→英語というサイクルは,中学校・高等学校の英語教育の現場でも用いられています。物語を最初に日本語で読ませてから,英語のテキストに進むそうです。日本語によるイメージが先行しているおかげで,直感的な対応付けが行われやすく,理解も定着も早くなる効果があると言われています。

吉田 もう1つ非常に役立った手法は,電子辞書の利用でした。パソコンに,ステッドマン医学大辞典とそのオリジナル『Stedman's Electronic Medical Dictionary』(Lippincott Williams & Wilkins)をインストールし,わからない単語が出てくるたびに検索するのです。紙の辞書を使用するよりもはるかに時間を短縮できます。また,『UpToDate』や『MD Consult』(★6)で検索を行うと,知りたい情報を短時間で入手できるので,紙の教科書をあまり読まなくなってしまったほどです。どのような教材を用いるにしても,英英辞書を使うなどして,英語を英語のまま理解していくことをお勧めします。

齋藤 そうですね。ただ,医学部低学年の方が,吉田君の方法を直ちに実践していくことは難しいかもしれません。「英語を英語のまま理解していく」という能力は,一朝一夕には身につきません。覚悟を決め,1年,2年と継続していく必要があります。そうしているうちに,英語の自動思考回路が形成され,辞書を必要としない自分を見出すことができるようになるでしょう。苦手な人には信じられないことかもしれませんが,英語は人間が使っている言葉なのですから,継続して取り組めば,絶対に上達します。

大野 私の場合,基礎医学を勉強中に,大学の先生に紹介された教科書を読破したことが自信につながりました。何でもよいので,自分が気に入った薄めの洋書を1冊読み通すことが,次へのステップにつながると思います。

齋藤 最初の1冊ということでは,表1の,ハワイ大学医学部の1年生が活用しているtop10を参考にしてください。日本でよく知られている本も含まれていますが,ほとんど紹介されていない書籍もあり,好著がたくさん埋もれています。「大著批判」のあとで申し訳ありませんが,他にはGoroll & Mulleyの『Primary Care Medicine』(★7)もおすすめできる「大著」です(笑)。

 日本では今,プライマリケアがブームですが,適切な教材がありません。プライマリケアの発想,ひいては臨床医学の基本は,患者が抱えている症候または問題に焦点を当て,なおかつ,最後までそこから視線をそらさないことです。症候に起点を置く診断法と,症状別のマネージメントこそが最大の関心事なわけです。Goroll & Mulleyはこのニーズを的確に満たしています。ハワイ大学医学部において1年生を担当している臨床医の大部分が,本書を推薦しています。

グループ学習はケース・スタディが鍵

齋藤 グループ学習に関してはいかがですか?

吉田 私が4年生の時から参加していた勉強会では,『Mastering the OSCE and CSA』(★8)などを使って,4年生から6年生までの学年混合で,ケース・スタディを行いました。佐賀大学医学部の場合,4年生では病棟で実習をしているわけではないので,ケース・スタディが臨床へのよい橋渡しとなります。知識を実際に使ってみる模擬体験がおもしろい時期なのです。

矢萩 私も,3年生の時から学年混合のケース・スタディに参加してきましたが,臨床の経験がまったくなくても,楽しかったです。学年混合ですから,下の学年の者はわからないことを上の学年の人に聞いていろいろ学ぶことができます。知識だけじゃなく,彼らの実習経験や勉強方法を聞くこともできて有意義でした。

大野 東京医科歯科大学では,Language and Philosophy of Western Medicineというプログラムがあります(★9)。2週間に1回,大学常勤のオーストラリア人医師と横須賀米海軍病院の医師1名により開催されています。病歴の取り方,診療録の書き方などについて,北米方式を英語で学んでいます。先生が患者役になって,学生が病歴を取り,最後に学生が症例提示を行います。この場合は,外国人指導医つきのケース・スタディとでもいえるでしょうか。低学年の方々にとっては,知識がないと非常に難しいと思うのですが,だからこそ逆に,そういった勉強会を早い時期に覗いてもらって,ショックを受けて,それ以後の学習の動機付けにしたらよいのだと思います。

齋藤 皆さんの世代は,皆さん自身が工夫されて,case-based approachに非常によく馴染まれていると思いました。case-based approachには,知識を獲得してから行うcase methodと,知識がまったくない状態からスタートするproblem-based learning(PBL)があります。日本の医学教育ではこの区別がなされていません。日本で行われているPBLは,北米でいうところのPBLではなく,case methodです。また,教材開発が未発達,かつ教える側の医師も適切なノウハウを持ち合わせていないのが現状です。そういった意味では,英語圏で誕生したケースブック(表2)に可能な限り早い時期から目を通していく姿勢は,抜きん出た臨床検討能力を獲得するには重要ですね。

One-Point Advice(2)
 ケース・スタディを行う際,『Case Records of the Massachusetts General Hospital』および『Clinical Problem-Solving』に慌てて手を伸ばす必要はありません。十分な臨床経験を持たずにそれらを読みはじめると,症例検討能力を高めるどころか,臨床に向かない「理屈屋さん」になってしまう危険性があります。commonな疾患と病態を,奇をてらうことなく,最も典型的な切り口で紹介しているケースブックを,まず1冊読み終えましょう。表2の3冊は,いずれも無駄な議論がなく,実践的。clinical clerkshipにも即,役立ちます。

表2 clinical clerkshipにも役立つ
   「とってもやる気がでるケースブック」
1)Diane L. Elliot and Linn Goldberg. The History and Physical Examination Casebook. Lippincott-Raven(1997)
2)Paul Cutler. Problem Solving in Clinical Medicine: From Data to Diagnosis(3rd ed.). Lippincott Williams & Wilkins(1998)
3)黒川清 監修,徳田安春,岸本暢将監訳,Gordon M. Greene編集,齋藤中哉,他 著・訳「臨床能力を鍛える『ハワイ大学式PBLマニュアル』すべての医師に求められる『問題発見・解決能力』をマスターする厳選症例!」羊土社(2005年)

 大野さんが指摘したとおり,低学年の医学生も,時間に余裕があるうちに,上級生が主催するケース・スタディに上手に参加することができれば,よい刺激を得ることになるでしょう。皆さんが,「医学英語」を「医学英語」として学ぶのではなく,「臨床医学を学ぶための一手段」として「医学英語」を位置づけ,研鑽されている姿勢がとても印象に残りました。医学部に入学した目的が,臨床医になることであることを思えば,それが本来あるべき当然の姿勢なのですよね。どうか今後も,頑張ってください。最後にもう一度,私たち全員で本日の座談会の内容を振り返って見ましょう。要約すれば,表3のようになりますでしょうか。皆さんのご活躍を期待しております。本日は,ありがとうございました。

表3 これだけは押さえよう!
   「医学英語:上達のための7か条」
1)自分にあった「楽」な方法で勉強しよう。楽しくなければ続かない。
2)見栄を張らず,結果として臨床能力の向上につながる勉強をしよう。
3)尊敬できる仲間と先輩に出会い,大いに触発され,薫陶を受けよう。
4)最初から全部が理解できなくたって構わない。気にせず前に進もう。
5)単語や文法に時間をかけない。私たちは英語学者ではないのだから。
6)電子辞書や電子媒体を積極的に利用し,能率よく学習を展開しよう。
7)まず1つ,簡単に達成できそうな目標を設定し,成し遂げてみよう。

References
★1 United States Medical Licensing Examination.(http://www.usmle.org/
★2 V. Bhushan, T. Le:First Aid for the USMLE Step 1, McGraw-Hill Medical, 2004.
★3 Test of English as a Foreign Language.(http://www.ets.org/toefl/
★4 L. S. Costanzo:Physiology, Board Review Series 3rd ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2003.
★5 A. S. Schneider, P. A. Szanto:Pathology:Board Review Series 2nd edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2001.
★6 UpToDate(http://www.uptodate.com/). MD Consult(http://www.mdconsult.com/
★7 A. H. Goroll, A. G. Mulley:Primary Care Medicine, Office Evaluation and Management of the Adult Patient 4th ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2000.
★8 J. Reteguiz, B. C. Avendano, M. McDonough:Mastering the OSCE and CSA. McGraw-Hill/Appleton & Lange, 2001.
★9 LPWMについてはホームページ(http://www.lpwm.com/)および『日英対訳で学ぶ米国の臨床留学(症例編)』(アンドリュー・シメル他編,森尾友宏他訳,南山堂,2004年)を参照のこと。


出席者のプロフィール

齋藤中哉(さいとうなかや)さん
京大大学院工学研究科修士課程修了。阪大医学部卒。ハワイ大学医学部でPBL指導およびカリキュラム開発を行うかたわら,医学教育国際ワークショップを企画主催。理学・工学・医学を修めた自在な知のフットワークを活かし,ホノルルと日本の双方で医学教育コンサルテーションを展開。株式会社メディカル・プリンシプル社(東京都)顧問,庄内余目病院(山形県)教育顧問。

吉田和樹(よしだかずき)さん
佐賀大学医学部卒。2004年6月,Kuakini Medical Center(ハワイ大学医学部教育関連病院)で4週間の臨床実習を経験。以前に交換留学で佐賀に来訪したハワイ大学医学部学生に再会。医学部3年生の彼が,ICU回診で理路整然と症例提示を行い,医学生であるにもかかわらず,チームの一員として激務をこなしている姿に衝撃を受けた。

大野真紀(おおのまき)さん
岐阜高等学校在学中,米国アイオワ州に1年間留学。英語が世界を広げてくれることを実感。医学部3年時,大学の交換留学プログラムで,Chulalongkorn University(Bangkok, Thailand)を訪問。タイの医学生が当たり前のように英語を使用している光景に接し,英語学習を強く動機付けられた。4年終了時にニューヨークのJacobi Medical Centerで実習を行った。

矢萩浩一(やはぎこういち)さん
名大理学部化学科を卒業後,名大医学部2年次に学士編入学。優れた臨床医であると同時に,後輩の育成に尽力できる医師をめざしたい。「現在の日本の教育システムで世界水準に到達することができるのだろうか」という不安と危機感に立ち,諸外国の医学教育と医療を早期に経験できるように,日々,医学と英語の研鑽に励んでいる。