医学界新聞

 

LPC国際フォーラム開催


 さる8月28-29日の両日,東京都中央区の聖路加看護大学ホールにおいて,「ナースによるフィジカルアセスメントの実践」をテーマに,LPC国際フォーラム(主催:(財)ライフ・プランニングセンター,後援:日本財団)が開催された。約250人の参加者のうち6割が看護教育関係者。いかにフィジカルアセスメント教育に現場の教育者が関心を持ち,苦労しているかがうかがわれた。

 冒頭,LPCの日野原重明理事長(写真)は,1978年に自ら編集・出版した「ナースに必要な診断の知識と技術」(医学書院刊)はこの領域の先駆けとなった本であるが,残念ながらその実践はわが国に定着せず,聴診器は単に血圧測定の時だけに使われるアクセサリーに留まっている現状を指摘。今後,高齢者が激増するわが国の医療の中で,ナースが医師の持つ触診や打聴診技術を用いて患者をアセスメントすることがいかに重要かを強調した。また,氏は「法律は後からついてくるものである」として,ナースがより積極的に現状を打破する役割を果たすことを期待すると述べた。

 セミナーは,道場信孝LPC最高顧問の司会のもと,Margery Chisholm氏(MGH Institute of Health Professions所長)とPatrice K, Nicholas氏(同 看護教育プログラム助教授)が米国のナース・プラクティショナー教育におけるフィジカルアセスメントの内容を詳細に紹介,さらにより高いレベルの看護師として働くためには,一定年限のカリキュラム化した知識と技術の教育が不可欠であると強調した。これに対して山内豊明氏(名古屋大学教授)や和田忠志氏(あおぞら診療所),操華子氏(聖路加国際病院)がそれぞれの立場からわが国の現状や問題点を述べた。最後のワークショップでは,どのようにすればより高度な役割を担う看護専門職を育成することができるかが熱心に討論され,多くの示唆に富んだセミナーとなった。