医学界新聞

 

暴力に対処するための身体技術・マネジメント法を開発

――精神科スタッフを中心に


 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(佐賀県)が,医療現場での暴力に対するマネジメントプログラムである『包括的暴力防止プログラム』を開発した。

 日本看護協会が7月に発表した調査報告によると,病院や介護施設で働く職員の32%が過去1年間に患者・入所者から殴る,蹴る,叩く,といった身体的暴力を受けた経験があるという。過去に同協会が実施した調査は看護部門の責任者が対象だったが,今回は看護師らに直接回答してもらう方式を取ったことで,被害の深刻さがわかったものだ。

 この調査を裏付けるように,最近「看護管理」や「精神科看護」の学会でも,軒並み「暴力」に関する看護研究が目につくようになり,「暴力」というトピックへの関心の高さがうかがえる。

 これまで医療現場では暴力が問題であり続けていたにもかかわらず,その対処法については施設ごとの慣行や先輩からの口頭伝授にとどまっていた。そのような中,今回の『包括的暴力防止プログラム』は日本で初のシステマティックな暴力への介入方法であるといえる。同センターはこのプログラムについて,「“患者さんの尊厳を保った”介入法」であり,「看護者が自信をもって冷静に対応できるようになる」といった利点をあげている。

 精神科領域の看護スタッフが中心となって開発したものだが,その技術は看護全体で共有できるものとして注目されている。

 同プログラムの内容については,雑誌『精神看護』11月号(7巻6号)の特集『暴力に対峙するときの身体技術』にCD付で紹介されるほか,来春,弊社より本格的な実践トレーニングマニュアルが刊行される予定である。また同センターでは「研修」を開講しており,プログラムの使用には研修の受講が必要不可欠とのこと。研修に関する問い合わせは下記まで。


問い合わせ
 独立行政法人国立病院機構肥前医療センター
 〒842-0192 佐賀県神埼郡東脊振村大字三津160
 TEL:0952-52-3231
 FAX:0952-53-2864

精神看護11月号
特集「暴力に対峙するときの身体技術」(実践CD付)

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