今回はDPC定義表と包括評価の概要について説明したいと思います。
定義表のみからこのような判断をすることは,慣れないうちは非常にわかりにくいだろうと思います。そこでそれぞれの傷病について分類の流れを図式化したのが図1に示した樹形図です。

包括評価における診療報酬の額
次に包括評価における診療報酬の額ですが,包括評価部分と出来高部分から構成されています。
包括評価部分とは,ホスピタルフィー的な要素で,この部分に関しては,診断群分類ごとの1日当たりの包括評価によって点数が決まっており,さらに医療機関別係数によって調整をする,という仕組みになっています。したがって,包括範囲の点数は以下のように計算されます。
包括範囲の点数=診断群分類ごとの1日当たり点数×医療機関別係数×在院日数
包括評価の範囲は,出来高の診療報酬との対応でみると入院基本料,検査,選択的動脈造影カテーテル手技を除く画像診断,投薬,注射,1000点未満の処置料,手術・麻酔の部での薬剤・特定保険医療材料以外の薬剤・材料料となっています。
出来高のほうはドクターフィー的要素ということで,手術料,麻酔料,1000点以上の処置料,心臓カテーテル法による検査,選択的動脈造影カテーテル手技,内視鏡検査,病理診断,指導管理料,リハビリテーション等や,手術・麻酔の部で算定する薬剤・特定保険医療材料となっています。
このように,わが国の場合,包括部分はDPCごとに設定された1日当たり定額方式で支払われます。アメリカのDRG/PPSのような1入院当たりの包括ではないことに注意が必要です。ただし,在院日数に応じた評価は,在院日数の適正化の意味もあり3段階の逓減制が導入されています。期間に関しては3つの設定があります。図2はそれを説明したものです。まず,入院期間Iですがこれは25パーセンタイル値に相当します。例えば,あるDPCの患者さんが100名いた時,在院日数の短い方から数えて25番目の患者さんの入院日数に相当するのが,この入院期間Iです。次に入院期間IIですが,これは各DPCにおける平均在院日数に相当します。そして,特定入院期間ですが,これは各DPCにおいて平均在院日数+2×標準偏差として計算される日数です。この3つの期間について次のような価格設定が行われます。

まず,DPCごとに平均在院日数における1日当たり平均点数が求められます。これが図2中の一番上の点線に相当します。これを基本として入院期間Iまでの15%加算額が決定され,さらに図中のAとBの面積が等しくなるように,入院期間IIまでの1日当たりの点数が決定されます。そして,特定入院期間以降は出来高算定という形です。ただし,平成15年度における検討の結果,化学療法などで初期加算を重くしたほうが適切であると評価されたDPCについては25パーセンタイル値までの加算分を5パーセンタイル値まで繰り上げて設定しています。
このようにして入院1日当たりの点数が決まるわけですが,実際の支払いではこれに医療機関別係数を掛けることになります。この医療機関別係数とは何かというと,機能評価係数と調整係数の和として求められるものです。
機能評価係数とは,その名の通り,各病院の機能を評価する係数で,現在はとりあえず,紹介外来加算のように,現行の診療報酬表で評価されている機能的な加算点数を係数化しています。調整係数は,制度変更に伴う対象期間における財政状況の激変を緩和するために,同じ患者を同じように診療した場合,同じ収入が得られるようにするための移行期間の係数として設定されているものです。
将来的には,この医療機関別係数の中の調整係数は,機能評価係数や地域係数に置き換わっていくことになると考えられます。例えば,離島から患者が入院してくるような場合,まず入院してから検査をして手術を受け,そして抜糸も入院中に行うということとなるので,入院日数が通常の患者より長くかかります。したがって,このような地域特性を何らかの方法で地域係数化することが必要になります。
![]() |
松田晋哉氏
1985年産業医大卒。91-92年フランス政府給費留学生(フランス保健省公衆衛生監督医見習い医官),92年フランス国立公衆衛生学校卒。93年医学博士(京大)。99年3月より現職。専門領域は公衆衛生学(保健医療システム,産業保健)。 |