第2593号 2004年7月19日


医師国家試験合格体験記――
ベースとなる考え方を身につけよう

三浦肇(秋田大学医学部卒)


 卒後研修必修化を迎えて変わりつつある国家試験の対策について,個人的体験を中心に述べますが,皆さんの参考になれば幸いです。

「未知の問題」への対処能力が問われた今回の試験

 はじめに,国試の問題は大きく2つに分類できます。それは「既知の問題」と「未知の問題」です。これは当然と言えば当然なのですが,第98回の国試は,とりわけ「未知の問題」に対処する能力が問われた試験だったと言えるかもしれません。この2種類の問題はそれぞれ対策が異なるので,この点を中心に述べたいと思います。

 まず「既知の問題」とは,いわゆる過去問の焼き直し,類似問題のことで,国試では依然として大きな比重を占めます。私の場合,友人のすすめで『医師国試・完全攻略・臓器別総整理』(日本医事新報社)の循環器,呼吸器の巻を5年生の夏休みにやりましたが,この問題集は解説が詳しく,問題を解いていくうえで必要となる思考プロセスが学べるため,標準的,典型的問題を勉強するには最適でした。その後,長期休暇に前述の問題集をやるつもりでしたが,あまり進まず,結局5割程度終わらせるにとどまりました。

 過去問の勉強を再開したのは国試が近づいてきた2月で,最近の過去問を知るために,『アプローチ2004』(医学評論社)の産婦人科,内科,外科,公衆衛生,小児科を1日50-100問ペースで解いていきました。直前期に全般的な知識のブラッシュアップができて,有効だったと思います。『STEP』(海馬書房)も必要に応じて読みましたが,私の場合は,過去問で得た知識を『レビューブック』(メディックメディア)に書き込んで自分用のまとめを作り,時々見直すという作業が知識を定着させるうえで最も役に立ちました。

 次に,「未知の問題」への対策について述べます。各予備校は新作問題,予想問題を作ることに力を入れており,模擬試験の問題を解いて復習することが,一見「未知の問題」に対処する能力を高めることのように思えます。しかし,模擬試験の問題の質は本番の問題とは異なっており,過度の期待はできません。私は自分の弱点や時間配分を知るために,2回ほど受けただけでした。

「未知の問題」への対処能力が問われた今回の試験

 では「未知の問題」を解くために必要なものは何でしょうか。それは,医学・医療上の常識の範囲を広げることと,判断の根拠となるものを養うことだと私は思います。今年の試験の特徴の1つに必修問題の難化があげられており,臨床現場での常識を問うものが数多く見受けられました。したがって,新しい研修制度がスタートするにあたり,プライマリ・ケア重視の方向が鮮明になった以上,BSTに臨む際にも常に問題意識を持つことが重要でしょう。なぜこの検査,処置が必要なのか,この手技において注意すべきことは何かといったことを教官に質問したり,学生同士でディスカッションしたり,調べたりすることが大事だと思います。

 また,1つの症例を症候から鑑別診断を行い,じっくりと学ぶケース・スタディも思考プロセス重視の問題が増えている最近の国試では有効でしょう。私も4-5年時にはケース・スタディ勉強会を行ったり,NEJMのCase Record抄読会に参加したりしていました。

 このように,国試対策本だけに集中するよりも,多方面から知識を得て思考トレーニングを行うことのほうが,国試対策としてより効果的で,卒後の研修にもつながるのではないかと感じています。みなさんのご健闘をお祈りします。