第2578号 2004年3月29日


NURSING LIBRARY 看護関連 書籍・雑誌紹介


現場での看護師育成に最適の一冊

ナースのためのコーチング活用術
柳澤厚生 編著
日野原万記,井原恵津子,清野健太郎,磯さやか 著

《書 評》中村惠子(青森県立保健大学教授)

 私が「看護職員教育にコーチングの考え方を活用する」ことを見聞きしたのは,今から10年ほど前であったと思います。なぜコーチングが私の眼に触れたかというと,当時,私は杏林大学医学部附属病院の看護部長の職にあり,この本の編著者の柳澤厚生先生たちとともに仕事をしていたからです。
 大学病院の看護部長の大きな仕事の1つは,高度先進医療を担う看護職員の育成です。自分が実践をするのではなく看護職員(他者)が自身でやりがいを感じ,力量形成できるようプランし指導するにはどうしたらいいかと考えていた時,本屋で一般書の中にコーチングの本を見つけました。従来から私たちは実践指導に力を入れて人材育成をしていましたが,それをコーチングとは考えていませんでした。そして,コーチングのスキルを活用するともっと明確に実践指導が可能になることもわかりました。

「コーチング理論」が一からわかる

 昨年11月に出版された本書『ナースのためのコーチング活用術』は,このような私へのプレゼントとうれしく拝読しました。すでに多くの看護職のリーダーたちが手にとっているとの情報も入っており,看護の方々が待っていた著書であろうと思います。
 本書は5章27レッスンで構成されています。第1章『ナースの新しい武器は「コーチング」』では,コーチングってなあに,コーチングの歴史,ナースと患者のコーチング・コミュニケーションが記され,第2章『コーチングの基本スキルを使ってみよう』では,コーチングの基本的考え方をはじめ,目標設定,ラポール(親密感)の形成,環境の整備,傾聴,承認,質問,提案といったスキルが記述されています。
 第3章『タイプ別コーチングでレベルアップ』では,タイプ別コーチング(タイプ分けの方法),親分肌のコントローラータイプ,目立ちたがり屋のプロモータータイプ,人の和を大事にするサポータータイプ,冷静沈着アナライザータイプ,これは使えるタイプ別コミュニケーションといった内容となっています。ここまではコーチングの基本として活用できる情報が多く盛り込まれています。自分のタイプと相手のタイプを重ね合わせ指導に活用できそうです。
 第4章『ちょっとハイレベルな知識とスキルを使う』では,コミュニケーションの見直し,自己理解と他者理解「ジョハリの窓」,比喩のスキル,リフレーミングのスキル,アンカリング(錨をおろす)のスキル,GROWモデル,第5章『コーチングを使いこなそう』では,クイックコーチング,会議でコーチングを使う,看護学生の教育にコーチングを使うが述べられています。
 すべて読む時間がないナースはクイックコーチング(Lesson25)を読み,その後必要なところを読まれるのもよろしいでしょう。著者たちは研修や大学院での実績を基盤にされているので,とてもわかりやすく書かれています。
 私はコーチングのことを看護管理者育成のファーストレベルの講義でも話しているので,私にとっては待ちに待った書が刊行されたことに感謝し,ナース諸姉へ推薦するものです。
A5・頁168 定価(本体1,800円+税)医学書院