医学界新聞

 

第1回国際統合医療専門家会議開催


 JACT(日本代替・相補・伝統医療連合会議)とJIM(日本伝統医療学会)主催による「第1回国際統合医療専門家会議」が,さる1月31日-2月1日の両日,東京・朝日新聞東京本社内の浜離宮朝日ホールにおいて開催された。
 渥美和彦氏(JACT理事長,JIM代表・東大名誉教授)によれば,1989年,「米国民の約3分の1が代替医療を利用している」というハーバード大学のアイゼンバーグ氏による報告から,代替医療への関心は高まった。米国政府は,NIHに代替医療調査室(OAM)を設置し,調査をはじめたが,1998年にNIHの中に国立相補代替医療研究センター(NCCAM)を設置し,大学および研究機関に資金を投じ,代替医療の教育・研究を推進したきた。
 その後,近代西洋医学と代替医療とを統合して患者中心の医療を行なう『統合医療』の考えが,今回の会議にも参加したアンドリュー・ワイル氏によって提唱され,現在,世界の医学界に定着しつつある。一方,わが国では,世界に誇る国民皆保険制度があり,そのため,わが国における統合医療への行政側の取り組みが遅れている。しかし,この数年間,わが国においても,特に民間において,この分野の関心が高まり,多くの相補・代替医療,さらに,統合医療に関する学会や協会が設立され,「玉石混交」,「乱立」の感さえあり,統合医療の内容について著しい誤解と混乱が生じつつある。
 これらの現状を踏まえて渥美氏は,「今回の国際専門家会議開催は,世界の新しい潮流としての『統合医学』をどのようにわが国に受け入れていくかについて,政策立案者のみならず,行政機関,医療関係者,報道機関,そして広く一般の国民によりよく理解していただく機会を提供できる糸口になる。この会議が『統合医療』に対して正しい現状認識と,今後のわが国の医療のあり方について,一石を投じることになれば幸いである」と開催の意義を語った。
 会議では,渥美氏のIntroduction「統合医療のあり方」,アンドリュー・ワイル氏(アリゾナ大学)による「統合医療の発展」に続いて,「日本における漢方医療の現状」(富山医薬大・寺澤捷年氏),「統合医学によるがん治療」(帯津三敬病院・帯津良一氏),統合医療と医療の質」(東京女子医大名誉教授・阿岸鉄三氏),「ハーブ・サプリメント」(米国コロンビア大学・F.クローネンバーグ氏,「わが国における健康食品の現況と問題点」(京都府立医大・芳川敏一氏),「日本発の大学における統合医療実践施設」(東京女子医大・川嶋朗氏),「保健機能食品についての取り組み」(国立健康栄養研究所・山田和彦氏)の8題の講演,また「総合討論」として,「統合医療の定義」,「CAMの分類」,「政府の取り組み」,「日本の受け入れ状況」,「統合への課題」,日米の現状」,「品質管理」,「法的規制」,「政府・研究」,「問題提起」として,「陽性ストレスはよい遺伝子を活性化する」,「日本の鍼灸医学・医療」,「相補・代替医療と統合医療の比較」,「漢方薬の現状と問題点」,「アーユルヴェーダ」,日本の相補・代替・統合医療の普及状況」などが企画された。