第2575号 2004年3月8日


コミュニケーションこそ患者満足の基本

「コミュニケーション/患者満足訓練コース」開催


患者満足度を手がかりに

 さる2月7-8日の両日,地域医療振興協会,他の主催による第2回「コミュニケーション/患者満足訓練コース」が,東京の日本医療事務センターで開催され,全国から卒後4年目から24年目までの第一線の医師12名が参加した。
 このコースの大きな特徴は,「患者満足度」を意識し,その向上を計ろうとするところ。
 「プライマリケアの場では,患者満足度の中心的なファクターは,医師とのコミュニケーションにあります」
 患者満足度についての調査研究を行なってきた前田泉氏(ティー・エムマーケティング)は,こう指摘する。病棟では,アメニティや看護師の態度などが大きなファクターとなるが,一般外来などプライマリケアの場では,圧倒的に医師とのコミュニケーションによるところが大きいというのが,氏の調査研究で浮かび上がっているからだ。前田氏は医療経営的視点から,「患者満足度は経営の質に直結している」と考えており,今回のコース開催にあたっても,コース参加前,参加後で患者満足度がどう変容したかという調査を行なっている。

スキルをどう教えるのか?

 一方,参加者たちの参加理由は,患者満足度への関心よりも,教育的なノウハウの蓄積に重きが置れていたようだ。
 「コミュニケーション・スキルをどう教えるのか,学びたい」
 臨床研修病院から参加したある医師はこう話す。臨床研修が必修化される中,基本的な研修医教育をどう行なっていくのかは,各施設共通の課題だ。医療の基本でありながら,これまで教育がなおざりにされてきた「患者コミュニケーション」を,そのような教育に実績を持つスタッフたちがどう教えるか,吸収したいというわけだ。
 スタッフを務めた松村真司氏(松村医院)は「参加者のコミュニケーション能力のレベルはすでに高い。しかし,それでもまだ足りない部分がどこかにある。イチローが鏡を見ながら素振りをするようなものだが,参考になるのではないか」と話す。また,本松茂氏(ゆきぐに大和総合病院)は,「昔は『話がうまい医者=世渡り上手』という見方をされ,むしろ見下されるようなところがあったが,ようやくコミュニケーションが1つの重要な技術として認識されるようなった」と述べ,時代の変化を指摘する。

医療面接終了後のフィードバック
自分の医療面接実演のビデオを模擬患者,スタッフとともに見ながら,振り返る。反省点を見つけ思わず苦笑。

ベテラン層にも伝えられることある

 本コースでは,「医師の医療面接と患者動向とのダイナミズム」,「基本的な医療面接技法と医師患者関係モデル」などの講義やデモによる講習の他,3人グループによる,ロールプレイやグループ討論による医療面接パフォーマンス,さらには,乳がんの患者団体である「あけぼの会」のメンバーを模擬患者ボランティアに迎えた医療面接パフォーマンスを行なうのが,大きな特徴となっている。
 本コースの運営・指導の中心となった箕輪良行氏(船橋市立医療センター)は,(1)自分の医療面接実演をビデオで見ること,(2)他のベテラン医の診療スタイルを見ること,(3)その場で(模擬)患者からのフィードバックを受けること,の3点の効果が非常に大きいと指摘する。「今さらコミュニケーション? と思っているベテラン層にもアプローチできる手法はある。体験さえしてもらえれば,まだまだ伝えられることがある」と述べ,特に,これまでコミュニケーション教育にまったく触れてこなかったベテラン医師層への教育・訓練機会の提供に意欲を見せる。
 参加者からはコース受講後,「何気ない手振りなど,日常気づかないところが見え,反省点がわかってよかった」,「他のベテラン医師の診療を見ると非常に役に立つ。いくつも盗めるものがある」,「患者さんとの位置の取り方,自らの姿勢,など見直す貴重な機会だった」などの声が聞かれた。
 箕輪氏は「すでに複数の研修病院から同様のコースを研修医向けにやりたい,という相談がきている。このような機会をぜひ広げていきたい。また,データを蓄積し,このような訓練が,患者満足度にどのような変化を与えるのか,明らかにしていきたい」と話している。
 なお,次回の同コースは7月24-25日の両日,同所にて開催される予定。