第2573号 2004年2月23日


「在宅ケアの多様な展開」をテーマに

第8回日本在宅ケア学会開催


 第8回日本在宅ケア学会がさる1月24日,福島道子会長(日赤看護大教授)のもと日本教育会館(東京)にて開催された。「在宅ケアの多様な展開」をメインテーマとした今回は,会長講演で病院の退院計画が取り上げられたほか,シンポジウムで「これからの障害者支援を問う」「子育て支援の在宅ケア」の2題が企画されるなど,介護保険制度中心の議論ではおきざりにされがちな問題に正面から取り組むかたちとなった。


病院もまた在宅ケアを担う仲間

 ここ数年,在院日数短縮が病院経営上の重要課題となる中,患者家族からは「在宅でみる準備ができないまま急に病院を追い出された」,在宅医療従事者からは「申し送りが医療情報のみの形式的なもので役に立たない」など,病院に対する不満の声が強まっている。
 こうした背景の中,福島氏は「病院が担う在宅ケア―退院計画」と題して会長講演。入院から在宅への移行がうまくいかない現状を「病棟の看護師も感じていることだ」とし,解決策の1つとして退院計画の改善をあげた。
 氏は,病院と大学の共同研究事業として1997年から関与している大田原赤十字病院の退院計画事業について経過を追って紹介。プロジェクトチームを組んだ1年目に課題として感じたのは,患者の在宅生活や家族介護のニーズを抽出する看護師の力量不足であるとして,2年目以降は院内教育に力点を置き,研修会の開催や大学研究者による各種記録の添削をはじめたことを報告した。
 また事業4年目には,退院後速やかに介護保険サービスにつなげるため,介護保険の認定申請やケアプラン作成を入院中に行なったと説明。ケアプランは,「この病院がとても大事にしている」という拡大カンファレンス(入院中に在宅生活のケアプランを作成するために,院内職種と患者・家族に加えて地域援助者も参加するもの)の場で作成されるという。市町村によってはこうした試みに否定的な意見も出たが,「ネガティブな反応が,逆に看護師を燃えあがらせた」として,退院計画の意義が病棟に浸透していった様子を述べた。
 退院計画の効果としては,事業開始から数年を経て「看護師の間に意味のある活動をしているという自信がついて,病棟全体も変化した」と印象を語った。また,患者を生活者としてみる視点が育ち,地域ケアシステムにも関心を持つようになったと個々の看護師の変化を述べた。最後に,「病院もまた在宅ケアを担う仲間であると位置づけてほしい」と,会場に集った在宅医療従事者・研究者に理解を求め,講演を結んだ。