医学界新聞

 

世界標準の救命処置を学ぶ

第3回AHA BLS&ACLSプロバイダーコース開催




 NPO法人日本ACLS協会による第3回AHA BLS&ACLSプロバイダーコースが,さる1月10-12日の3日間にわたり,船橋市立医療センターにおいて開催された。
 この講習会はアメリカ心臓協会(以下AHA)のBLS,ACLSコースの資格を持つインストラクターによって指導され,修了時にはAHAの認定証が取得できる。2日目のACLSコースでは,全国各地から集まった参加者がインストラクターの指導のもと,気道管理や除細動器の使用法にはじまり,人型シミュレーターを用いた本番さながらの実習を行なった。

知識と判断力が問われる実習

 受講生は5人からなるグループに分けられ,「除細動器・TCP」,「PEA・Asystole」など各手技を担当するインストラクターのブースをローテーション方式でまわる形で実習を行なう。インストラクターからは「低体温にTCPをするのはなぜだめなのでしょう?」,「この波形を見てどう考えますか」など受講生に対して積極的に質問がなされ,単に知識の伝達でなく「自分で考えて行動する」という過程が重視されている。
 人型シミュレーターを用いた実習では,最初に「50歳男性,忘年会の帰りに路上で倒れていた」,「60歳男性,風呂あがりに倒れた。過去に急性心筋梗塞。血圧は80」などの説明がなされる。「84歳男性」のケースでは,救命処置を行なっている途中にシミュレーターのズボンに「末期癌なので心停止時は延命治療を望みません」という手紙が発見され,家族の意思を確認する手順の後に処置を終了するという場面も。
 指名された受講生は,同じグループ内の他の受講生に指示を出しながら,このように状況に応じた適切な判断を求められる。

さらなる普及に向けて

 このACSLプロバイダーコースを受講し,インストラクターに認められた受講生が,本人の希望によりAHA認定のACLSインストラクターになるためのコースも用意されている。
 日本ACLS協会事務局長の金弘氏(船橋市立医療センター)によると,4月までに40名のインストラクターを養成する予定だという。
 今回の講習会について氏は,「全国からの応募状況を見て,グローバルスタンダードであるAHAのコースを待望している方々がたいへん多いことがわかった。また,これまでに3回のプロバイダーコースを運営した結果,コース,インストラクターの質も高く,信頼に足るという評価を参加者からいただいている。今後は各地のトレーニングサイトで定期的にコースを開催できるよう努力したい」と,これからの発展に対する期待を述べた。