第2570号 2004年2月2日


統合失調症急性期を疑似体験

バーチャル・ハルシネーション日本版開発される




 2003年12月11日,ヤンセンファーマ株式会社は,統合失調症の急性期に見られる幻覚・幻聴などの症状を疑似体験できる装置「バーチャル・ハルシネーション(以下VHと略)日本版」を開発したと発表。2004年1月より全国の医療機関ならびに家族会などを対象に,無償で貸し出す予定だ。
 VH日本版は,2001年5月に翻訳バージョンとして日本で発表された「VH米国版」の後継モデル。体験者は米国版と同様,センサー内蔵の「フェイスマウントディスプレー」を装着し,コンピューターグラフィックスとステレオ音声によって,幻覚・幻聴の疑似体験ができる。
 米国と日本では,患者背景の違いから,同じ統合失調症患者といっても,その体験世界は大きく異なると言われている。VH日本版では,この点を考慮し,VH米国版で強調されていた視覚的な異常体験(実際にはないものが見える「幻視」や,実際にあるものが違って見える「錯視」など)には重点を置かず,日本人の統合失調症患者に圧倒的に出現頻度が高いと言われ,当事者の苦しみや混乱のもととなりやすい幻聴体験をメインに扱っている。
 また,米国版が場面設定を診察室としていたのに対し,日本版では「喫茶店」とし,日常生活における当事者の体験や苦労を理解できるよう,工夫されている。
 ヤンセンファーマ社長の関口康氏は記者会見で,「統合失調症への根深い偏見が,早期発見・治療をはばんでいる。VH日本版が,統合失調症への理解を深めるきっかけとなれば幸いだ」と述べ,専門職をめざす学生などを中心に,積極的に貸し出しを行なっていきたいとした。