医学界新聞

 

トリインフルエンザ対策に厚労省指針

ワクチン接種の奨励,抗ウイルス薬の予防的投与も視野に


 山口県の採卵鶏農場において高病原性トリインフルエンザが発生した問題で,厚生労働省は各地方自治体に対し,トリとの接触を持った者の体内でトリインフルエンザウイルスと他のインフルエンザウイルスの再集合を防ぐ理由から,インフルエンザワクチンの接種を推奨することや,トリの殺処理従事者などの特別なリスクを持つ者への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を勧奨することなどを含めた通知を出した。さる1月16日に行なわれた厚生労働省厚生科学審議会感染症分科会で報告された。
 この他にも,感染したトリとの接触歴があり,かつA型インフルエンザ陽性でトリインフルエンザの感染が疑われる患者については,各地方衛生研究所において詳しく検査を行なう体制としていることや,ヒト-ヒト感染が成立する「新型インフルエンザ」が認められた場合は「指定感染症」として扱うことなどが確認された。トリインフルエンザに関する情報については国立感染症研究所のホームページ内にQ&A方式で掲載されている。
(http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/QA040113.html)
 岡部信彦氏(感染研・感染症情報センター長)は弊紙のインタビューに対し,「あくまでも現時点ではトリの問題」と強調する一方,インフルエンザと診断した患者に対しても,海外渡航歴,トリとの接触暦をきちんと聞くべきであり,また,ワクチン接種への理解を得るためにも,臨床現場ではこれまで以上にインフルエンザへの強い認識を持って対応していくことが必要と指摘している。