第2569号 2004年1月26日


「Care for Caregivers 病院コンサート」開催


 「Care for Caregivers病院コンサート」というユニークなコンサートが,昨年11月29日,神奈川県川崎市の聖マリアンナ医科大学附属病院において開催された。
 この催しは,同病院看護部(部長=陣田泰子氏)の主催によるもので,看護師をはじめとするCaregivers(介護者)に対するケアを提供すると同時に,院内で開催することによって,患者さんに対するケアを共有することを目的にしている。
 第1部は藤田直久氏(京都府立医大助教授)による講演会「院内感染トリビア」,第2部は「イーハトーヴォコンサート」の構成からなり,神奈川県看護協会の後援,住友製薬他3社の協賛,ならびに医学書院およびビー・エス・コミュニケーションズの運営によって行なわれた。

「院内感染」をめぐる“トリビア”

 「Care for Caregivers病院コンサート」の第1部「院内感染トリビア」では,藤田直久氏(京都府立医大助教授・臨床分子病態・検査医学)が院内感染をめぐる基礎知識とトピックスを次のように紹介した。

院内感染の多くは「手」が原因

 院内感染の原因の多くは,意外なことに「手」にある。その点からも,「手指衛生の重要性」は強調されてしかるべきであり,「手洗いは感染防止のための最も重要な手技である」という認識はさらに徹底されるべきである。
 WHO(世界保健機構)から出されている院内感染のガイドラインには,その国の経済状況を考慮した感染対策が書かれているが,標準予防策や感染経路別対策などの基本的な事項はあまり違いはない。しかし,手指消毒に関しては,例えば「手洗い専用設備の有無」「手洗い製剤の種類」など,その国の経済状況や医療環境によって大きく異なっている。

「手洗い」の種類とその効果

 手洗いは,通常「日常手洗い(一過性菌を洗い流す。流水と石鹸による)」「衛生的手洗い(一過性菌を洗い流し,常在菌を減らす。消毒剤による)」「手術用手洗い(同前,常在菌をさらに減らす。消毒剤による)」の3種に分類される。
 手洗い製剤の選択は,除去する対象に依存する。「一過性菌(生体に短期間存在する菌)」か,「常在菌(宿主である生体と共存する)」かによって異なるが,日常の動作では,石鹸と流水による機械的な微生物除去でよく,ディスペンサータイプの液体石鹸が望ましい。
 「石鹸・流水」と「アルコール含有消毒剤」を比較すると,前者には,(1)安価,(2)効果的に一過性菌を除去できる,という利点があり,(1)時間がかかる,(2)手洗い場が必要,(3)手荒れ,という欠点がある。一方,後者には,(1)幅広い殺菌効果と速効性,(2)手洗い場が不要,(3)保湿剤入りで皮膚に優しい,(4)携帯可能,(5)動作ごとにすぐにベッドサイドで消毒できる,(6)残存効果がある,(7)訪問看護でも可能,という利点があり,(1)洗浄効果はない,(2)手荒れがあるとしみる,(3)可燃性,(4)何度も使用すると保湿剤が重層になる,(5)細菌芽胞には効果がない,という欠点がある。

最適な手洗いテクニック:トリビア

 日常手洗いにおいては,次の事項を心がけるべきである。(1)宝飾類をすべて外し,袖を巻き上げる。(2)流水で手を濡らす。(3)手の全体に石鹸を適用する。(4)しっかり手を擦り合わせ,徹底的にすべての表面を10-15秒間洗う。(5)手を肘より低くし,また,蛇口の栓などの器具には触れない。(6)流水で徹底的に手をすすぐ。(7)ペーパータオルを使い,徹底的に手を乾燥する。(8)最後にペーパータオルで栓を閉める。

感染対策を有効にするために

 最後に藤田氏は,「ガイドラインはあくまでも指針であって,実際的な部分のないことがある。したがって,それぞれの施設では,ガイドラインを参考にして,手技・手順を個々に作成し,職員の教育・訓練を実施することが大事である」と指摘し,「病院の第一条件は,“病人に害を与えない”ことである」というナイチンゲールの有名な言葉を引用して講演を締めくくった。