第2568号 2004年1月19日


〔新春座談会〕
2004年
私たちの臨床研修はどうなる?

――厚労省医事課長,医学生と語る

 上田 博三氏(厚生労働省医政局医事課長)
 田村 雄一さん(慶應義塾大学6年)
 白川 剛さん(九州大学6年)
 本根 杏子さん(札幌医科大学5年)
<司会>市村 公一氏(メディカルプリンシプル社・前東海大研修医)


 新臨床研修制度の施行に向けた初めてのマッチングは,95%以上という高いマッチ率を残す結果となった。そのうち75%以上は第1志望にマッチしている。結果だけ見れば成功といえそうなマッチングだが,実際に参加した学生の印象はどうだったのか。そして,いよいよはじまる新臨床研修制度は,どのような方向に向かって進んでいくのか。全国の臨床研修病院を取材している市村公一氏の司会のもと,厚生労働省医政局医事課長の上田博三氏と医学生が語りあった。


■初めてのマッチングを終えて

来年度からは実施時期を前倒し

市村〈司会〉 つい先日,マッチングの結果が発表されました。まず,マッチングを経験しての感想を,田村さんからお願いします。
田村 夏に試験を受けた人が多かったと思うのですが,最終的な発表が11月13日と,発表までに非常に長い期間がありました。それだけの時間が必要だったのかなという思いがまずあります。途中に行なわれた中間発表にも,どれだけの意義があったのか疑問です。
上田 今回は,制度が初めての年ということで,準備の関係もあってマッチングの実施までに若干時間がかかりました。来年度以降は,マッチングの実施時期は少し前倒しされることになると思います。医師国家試験も少し早い時期に行なわれ,4月になる前に免許が与えられることになりますから,2005年からは4月より研修を開始することになります。
 中間発表については,むしろ皆さんのほうから,意味があったのかどうかをお聞きしたいと思います。
田村 中間発表で倍率が高いから志望順位を変えるということは,システム上もないと思いました。逆に,研修病院側が追加募集などを考えるための数字なのであれば,第1志望ではなく志望者総数で判断したほうが意義があるのではないかと思いました。
上田 今回のマッチングで,75%を超える方々が第1志望とマッチしたことを考えますと,第1位の発表にも意味があるのではと思っています。今後の扱いは,マッチング協議会で議論して,来年以降の方式を検討することになります。
本根 私は,中間発表はやっていただきたいと思います。中間発表の数値が,全体を把握する指標となる気がします。
白川 中間発表で出た数字にかかわらず行きたい病院は変わらないとは思いますが,あくまで参考にするためのデータとしては使えるという意味で,中間発表には意義があったのではないかと思っています。

「ランク付け」には意味がない

田村 実際問題,データとして必要かどうか。志望順位に関係がないのであれば,そういうデータは単なるランク付けに使われるだけで,「人気の病院」が倍率だけで判断されてしまうことにもなります。
 研修の内容が反映されないデータは,いろいろな研修病院のオリジナリティを引き出す上ではマイナスに作用するのではないかと感じます。
上田 ランク付けにかかわる数字は,国や協議会としては発表しないという立場をとったのですが,結果として一部メディアによって「ランキング」という形で出てしまいました。ランク付けのためではなくて,皆さん方の選択の利便を図るために情報を出すわけですから,いちばん有効な情報は何なのかという,皆さんからの意見が重要です。
 中間発表の方式をどうするかもありますが,むしろ個々の病院の情報も充実させなければいけないと考えています。
市村 確かに,マッチングに関して,入試の偏差値のようなイメージでとらえている方も多かったようですね。研修は,あくまでもその病院の提供している医療の一環として行なわれるものであって,病院の性格がまず第一です。それぞれに特色があって,地域における役割があります。それと関係のないところで研修が行なわれるわけではないので,人気や倍率で偏差値のようなことを考えるのはやめてもらいたいと思いますし,そういう考えで病院を選んでも決していいことはないと思います。

情報は確実に届いていたか?

市村 地方だと,情報がなかなか行き渡らなかったという話もありました。
本根 マッチングに関する説明会があったらしいのですが,その説明会があったということは後日聞かされました。私の学年でも,上の学年でも,情報がない人はまったく参加できなかったというわけで,結果的にはマッチングのシステム自体,知らずに参加している学生も多かったのではないかと思います。説明会は必ずオープンにして,全員が参加することをある程度義務にするシステムを作っていただきたいです。
上田 マッチングそのものは国が直接行なうものではないので,国として説明会はできないのですが,マッチングに関する情報はできるだけ提供したいと思っています。
 厚労省としては今,マッチングと平行して,臨床研修病院の指定の作業を行なっています。これまでは500施設ほどしかなかったところを,協力病院も含めば約2000施設を認定することになります。これからは,これらの病院のプログラムはどのようなものか,インターネットで見れる状況になります。
 しかし,最も大事なのは,実際にそれぞれの病院へ行って見学したり,面接や試験を受けたりすることです。そして,ある程度の学年次になったら「ああいうところで研修をしてみたいなあ」という思いを持つことが必要です。
本根 マッチングで決まった病院をやめてほかの病院へ行った場合,学生にはペナルティが科されるという噂があったのですが。
上田 学生に対するペナルティはありません。ある病院にマッチしていた人を後から引き抜くような,マッチングそのものを意図的に破壊しようとしているような行為を行なっている医療機関があれば,臨床研修指定病院としての指定を取り消すなどのペナルティをかけることを,国としても考えています。また,そのような医療機関はマッチングへの参加ができなくなります。
白川 全国の医学生に情報が平等に行き渡るよう,早い時期での説明会実施や今後のマッチング計画の啓蒙が必要です。病院に対する明確な規定作りも早急にしてほしいです。

■新制度に対する不安と期待

36年ぶりの改正

市村 マッチングに関するお話はまだまだあると思いますが,いよいよ6年生の皆さんの研修は,今年の春からスタートするわけです。スーパーローテーションの必修化という新制度への期待や不安を聞かせてください。
白川 非常に急いで新制度を進め,新臨床研修制度がはじまる印象です。いろいろな分野を経験できる期待が非常に大きいという点はありますが,いったい自分たちは明確に何をめざせばいいのだろうという不安もあります。
田村 個人的にはこの2年間の臨床研修必修化というのは,プライマリ・ケアを学んで,いろんな研修病院に行って学ぶ機会を得て,自分たちにある程度の裁量を与えられつつ研修ができるという意味で,非常によい制度だと思います。
 ただ,3年前に法律が通ったにもかかわらず,システムが実際に動き出して学生側に情報が与えられ,臨床研修病院共々動き出したのは,ここ半年強に過ぎないという事情がありますので,そういう事態になる前にもう少し準備を進めておけばこの制度を円滑に進めていく工夫ができたのではないかと思っています。
上田 今回の研修制度の変更は,実に36年ぶりのものです。確かにこの1年間ぐらいにいろいろなことが決まったという点で,急いでいる感じを受けておられると思いますが,実際には10年以上をかけて議論してきた問題です。最後に詳細化をするところで時間が足りなかったり,皆さんに情報がいかないという事実が確かにあったと思いますが,制度が定着してくれば,そういった部分は解消していくと考えています。
 36年前の改正の際には,インターン闘争がありました。当時は,大学を出てすぐに国家試験を受けるのではなく,1年間の見習=インターンの期間を経ることが義務とされ,それから国家試験を受けて医師になるという制度でした。戦争直後から昭和40年代初めまでそうした制度だったのです。
 現行の制度では,卒業してすぐに国家試験に通れば,医師免許がもらえます。その後の2年の研修は義務ではありません。この36年間の経過をみると,最初の2年の研修において,特にプライマリ・ケアといわる部分が,研修医にとって十分に身につかないのではとの反省から,それを変えようとして今回の大きな改正になったわけです。
市村 私がいろいろな病院を取材して印象的だったのは,今までは大学に残って博士号を取ることが医師としての王道のように言われてきたのが,今回の必修化によって,医師である以上まず臨床ができなければダメだという認識が,学生さんをはじめ,すでに研修をはじめている人たちの中にも生まれてきていることです。その点では,非常によい影響を及ぼしていると思います。

■研修はどう変わるのか

身分保障の問題

市村 研修医の身分保障の問題についてはどのように改善されるのでしょうか。
上田 まさに36年前に処遇の問題が議論になって,当時の厚生省が実現できなかったわけです。その結果,アルバイトで生計を立てなければならない人たちが出てきました。日本の医療提供体制の中に,研修医をはじめとするアルバイトがガッチリ組み込まれてしまって,アルバイトなしでは日本の医療体制ができない状況になってしまっています。
 もちろんアルバイトは必要かもしれないのですが,そこを1年目,2年目の研修医が担ってしまうのは問題なわけです。研修に専念してもらうためには,やはり処遇の問題をしっかりしなければなりません。
 来年度は,新臨床研修制度のための予算として,171億円が計上されることになりました。これは従来の43億円の4倍になります。また,研修医の当直に着目して,研修医の処遇改善に間接的に支出できる財源も組まれることになりました。現在,処遇のよくない病院でも,相当に改善がされると思います。これにより,研修施設では国公立,私立を問わずアルバイトをせずに研修に専念できる基盤ができると考えています。皆さんも,2年間,患者さんと病気に正面から取り組んで研修の実をあげていただきたいと思います。
市村 今まで自前の研修医をとっていなかった市民病院で,今度新しく研修をしようという病院があります。研修医が入ることによって,教えなければいけなくなる。教えるためには,自分が勉強しなければいけなくなる。そういうことで,病院全体の診療レベルが上がると期待されてのことです。市民のお金を使って研修医の給料を払っても,市民病院の診療レベルが上がれば市民に対して還元できると。そういう理屈で,市議会に研修の話を持っていったというところもありました。
上田 長期的には,研修をしっかり進めれば日本の医療レベルは必ず上がります。ただ,短期的に研修病院のレベルが上がるかどうかというと,これには議論があるんですね。
 このこととは別に,「研修医に診てもらうのはちょっとイヤだ」という患者さんがいるかもしれません。しかし,研修医が来ることによって病院自体が活性化するという意見もあります。要するに,病院の研修に対する姿勢に左右されるということを強調したいと思います。

研修医の持つ二面性

市村 身分保障の問題の中には,研修医の労働環境の問題もあると思うのですが,田村さん,いかがですか。
田村 現実的に身分保障の件では,皆が社会保険に入るようになって,ある程度の給料も出るということが保障される点はよいと思うのですが,実際に「労働者」という扱いになることで新たに出てくる問題があると思います。
 ある程度真面目に研修をしようと思うのであれば,9時-5時で帰るというような労働体系に忠実に則りたいと思っている人は,雇用者側にも研修医の側にも少ないと思います。これまで研修を積み重ねてきた病院は,実際のところと法律で決まっているところとにギャップがあることも,もちろん理解されていると思うんですが,労働者性を認めてしまったがために,今後どのように研修医を扱ってよいかわからないという不安を感じている病院関係者もいると思います。また研修医自身もはたしてどのような条件が適切なのか計りかねるかもしれません。
上田 皆さんご存知のとおり,3年ほど前に,関西医大の判決があって,そこで研修医には労働者性があるという明確な判断がなされました。
 研修医だけでなく,一般の先生方にも,当直明けに日勤をしているということはザラにあるわけで,医療安全の点からも非常に問題があると思っています。研修医の皆さんについては,医療安全の点も考え,労働者であるということも考えて,単に経済面だけではなく,幅広い保障がなされるべきだと思っています。
 一方で,研修をする立場でもあるわけですから,労働者性だけを言ってもいられない部分があります。具体的には,病院に残って何かの文献を読んでいる時間を残業時間と見るかというと,それはおそらくそうはならないでしょう。また,患者さんに急に変化があって対応しなければならないとき,労働基準法上の残業の取り扱いをどうするのか,管理者の残業指示をわざわざ求めるのかなど,医療固有のさまざまな問題がありますが,研修医はこのような二面性を持っているということですね。
 研修医の持つ二面性を十分に考慮したうえで,労働契約や,労働協約として,それぞれの病院でルールを作ってもらう。基本的には労働者性がありますから,厚労省としては,最低賃金は少なくとも払ってもらわなければ困ります,ということは申し上げます。当直明けの問題については,研修医に限らず,医療全体の問題として,今後きちんと取り組まなくてはなりません。この点は,厚生省が労働省と一緒になったことで,これからもっと方向性がはっきり出せると思います。

研修の質はどう管理される?

本根 自分の労働条件があまりにもひどいというようなことを訴えたりすることができる,審査・改善のシステムは整っていますか。
白川 学生が意見を言ったり,研修医や病院側が意見や改善を要求できるような,公的かつ中立な機関の設置を望みます。
上田 研修病院の指定を審査していますから,あまりひどい場合には,国として指導することになります。また,補助金を出すことになりますから,場合によってはその補助金を止めてしまうというような処分もありえます。
 しかし原則的には,できるだけその研修施設の研修管理委員会や,指導医の先生とよく相談していただくのがいいでしょう。こういった評価はいずれ後輩に伝わっていくものですから,病院側も努力することになります。
 全国の皆が同じように,この研修制度を育てていこうという気持ちになることが重要です。どこかが落ちこぼれて,そこでモラル・ハザードが起こると,結局36年前と同じ状況になってしまう。それは避けたいと思っています。
 新しい制度ではプログラム責任者を置いて,研修をきちんと管理してもらうということが,従来からの大きな変更点だと思います。その管理下で,個々の研修医の到達状況や勤務状況を把握し,いちばん適切な方法を考えてもらうのと同時に,いろいろなリスクを減らしていく。そういった,ルール化された研修をやってもらいたいと思っています。日本全国で最低限は保障されている制度に変わっていくことが大事だと思っています。
 新聞を見ると医療事故が次々と報道されています。現在は医療が高度化し,複雑化しているので,少しのミスが大きな事故になるというリスクがあると思うのです。やはり,それだけの体制に皆が意識して変わっていかなければいけないという医療安全の問題があると思います。研修医は最初の2年間で,自分も,患者も守れるような,安全に対する基本的な行動を身につけなければなりません。
 このような医療をとりまくさまざまな問題をできるだけ解決していく,その第一歩として,いちばん大事な人的資源の部分,研修の改革をしっかりやっていこうということです。
市村 国立大学附属病院長会議ではEPOCという研修評価システムを開発しています。また,日本医療機能評価機構でも臨床研修を評価の対象領域として考えているようです。そういった第三者機関で評価をやっていこうという動きもあります。私自身も,今回の取材経験を活かしてそうした研修評価にもかかわっていこうと思っています。
 実際に研修病院を見てくると,有名な研修病院であっても,かなり本人任せの場合が多いのが実状です。指導医が忙しすぎて,研修医にまで十分な目が配れていないのです。来年からの必修化でちゃんと指導しなさいといっても,難しい部分もあるかもしれません。

■日本医療の将来を見据えて

よい医師をつくるために

田村 よい医師をつくるという最大かつ究極の目標のためには,よい医師をつくるための優れた教育システムが必要・不可欠だという国民の理解も必要だと思います。研修医という技術的には未熟で専門的知識にも乏しい人間が,患者さんを診て勉強させてもらうという過程が,よい医師をつくる上では絶対に必要不可欠であるということを,国民にわかっていただけるように進めていかないと,将来よい医療は実現できないと思います。
 よい医師を育てなければ,自分たちが将来よい医療を受けられないというような包括的な議論の積み重ねこそ,5年,10年先を考えたときに,よりよい研修環境を実現するために必要ではないかと思います。
上田 それはもうおっしゃるとおりで,予算は確保できましたが,処遇の問題,指導体制の問題,それから勤務条件の問題などなど,まさにこれから実際に新しい制度下で動かしていって,国民にも理解していただきながら1つひとつ問題点を解決していくことになります。
市村 マスコミ関係の方にも,医療事故を表面的に叩いていても問題は何も解決しない,もっと根本にある医師の労働環境の問題などを,国民にわかるように説明してくださいとたびたびお願いしているんですが,なかなか難しいようです。
白川 医師は聖職であって,医学は万能であるはずと考える風潮を変えていく必要はありますね。そのうえで,患者さん側も協力して,医師も協力しあって,先輩も後輩を教えてというような,全体的な協調の流れにしていくということを,長期的なプランとして考えることが必要なんだと思います。

医療改革の方向性

田村 今回の研修制度の変革だけでは医療改革は十分ではないと思うのですが,今後,何をどのように変えていこうと考えておられますか。
上田 個人的な考えになりますが,1つは,専門家が専門家としてきちんと役割を果せるようにすることだと思います。医師が専門技術に力を注いでもらうようにするために,雑用を減らすことが必要だと思っています。
 また,これからますます少子高齢化が進んでいくわけで,その中でどうやってよい医療を提供していくかを考えなくてはなりません。財源面も含めて大きな圧迫がある中で,効率的で質のいい医療のために何がいちばん大事かを考えて,それぞれの医師がプライドを持って仕事をしてもらうことが改革につながるわけです。
市村 最初の2年が終わって,後期研修にはまた大学に戻るなり,市中病院の別のところに行くなりという選択がでてきます。病院側も専門研修に絞って後期だけ研修医をとるというところも出てくると思います。
 卒業3年目にまた若干のシャッフルがあって,後期が終わってレジデントを卒業して,最終的にどこで仕事をするかというところでさらに多少のシャッフルがある。そうやって何度か他施設で研修した人たちと混じり合うことによって,医療全体のレベルアップが達成されるのではないかという期待を持っています。
田村 医師の教育は,医学部1年生からはじまると思うんです。2年間の必修研修をやらなければいけないのは,逆に言えば医学部の教育がきちんと確立されていないことが背景にあると思います。
上田 医師法上の制約の問題があります。免許を持っていないということで,患者さんに触れさせるのに制約があるんです。文部科学省とも協力して考えていくことになりますが,初期研修を1年にして,学部教育に臨床研修的な要素をさらに取り入れるとか,もう少し前倒しでやろうというようなアイデアも関係者からは出ています。
白川 医学部教育,卒後研修,専門医制度といったさまざまな要素が一体となった変革が必要ですね。まずは卒後研修の部分の改革ですが,今後も引き続き長期的なプランで日本の医療界を改善していただきたいと思います。そのためには,国・大学・研修病院が継続的に協力していくことが望まれますね。
上田 今回の新しい臨床研修制度というのは,大学のあり方,学部のあり方,卒後の問題など,すでにいろいろなことに影響を与えています。まさに出発点だと思います。
市村 文部科学省も,クリニカル・クラークシップの導入や,共用試験を打ち出していますが,実際に動き出して効果が上るまでにはなかなか時間がかかるということで,今回,卒後のほうから卒前の側に大きな課題を投げたのかなという印象ですね。
――課題はありますが,新しい制度により,日本の医療がよりよいものになることを願わずにいられません。本日は,有意義なお話をいただき,ありがとうございました。


臨床研修に171億――2004年度政府予算案

研修医の処遇を大幅に改善
アルバイトせずに研修に専念へ

 政府は昨(2003)年12月24日,2004年度予算政府案を閣議決定した。その中で,注目されていた研修医の処遇改善や指導医手当てなどに当てられる費用として,171億円が計上された。
 厚労省は8月の概算要求では,研修医1人あたりの給料を月額30万円(年収360万円)程度に引き上げることを目標に212億円を要求していたが,その約8割が認められる形で決着した。これは昨年度出されている補助金の約4倍にあたり,厚労省は研修医がアルバイトをせずに研修に専念できる環境が整うとしている。

研修医用安全ガイド作成へ

 また,坂口厚労相は同日「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」を発出した。厚労相はこの中で医療事故防止に向けて,「人」,「施設」,「もの」の3つの柱を立てて対策を進めるとしているが,特に,「人」を軸とした施策については,「医師等の資質の向上」を第一にあげ,施策例として「国家試験における安全意識を踏まえた対応」,「臨床研修における安全意識の徹底(研修医用安全ガイドの作成)」などを示した。



上田博三氏
 1978年大阪大卒。卒業後6年間の臨床経験の中で麻酔科医としての研鑚を積んだ後,行政の道へ。旧厚生省,宇宙開発事業団,環境庁,厚生労働省のそれぞれにおいて,さまざまな角度から日本の健康政策に取り組む。2003年8月より厚労省医政局医事課長として,研修プログラムの認定,財源確保など,来年度から施行される新医師臨床研修制度の整備にあたっている



田村雄一さん
 慶応大6年。慶応大学心臓病先進治療学の福田講師(本紙2483号参照)の指導のもと,心筋細胞の再生医学研究に携わる。また,下級生やコメディカルスタッフを対象としたACLS講習会を開催したり,ケーススタディの勉強会や医学論文の抄読会を主宰するなど,どのようにすれば学生サイドから医学教育のレベルを高める体系的なシステムを構築できるかを常に意識し,新たなデバイスを模索する活動を続けている



白川剛さん
 九州大6年。九大医学部卒後臨床研修委員会学生委員長。2003年4月の医学会総会では,学生企画「卒後新制度を考える」の運営を行なった。6年次の臨床研究実習・病院実習で小児外科と出会い,子どものあたたかさ,生命の尊さについて改めて考えさせられる。子どもや親の笑顔を見るために精を出すことが医療の原点であり,また医師冥利に尽きると思い,あたたかく笑顔に満ちた医師をめざして小児外科の道に進むことを決意する



本根杏子さん
 札幌医大5年。4年生の夏に,ヨーロッパで海外の医学生と触れ合う機会を持ち,帰国後も各国の医療システムや,医療の現状を情報交換する中で,彼らの医学への意識の高さにいつも啓発されている。目下,卒後研修に自分の将来を見据え,どのような研鑚を積んでいこうか思案中



市村公一氏<司会>
 1984年東大美術史学科卒。2002年東海大医学部卒。医学生と医師2500人が参加する「より良い医療を目指す医学生と医師のメーリングリスト」主宰。今年度は(株)メディカル・プリンシプル社の契約社員として全国の臨床研修病院を取材。その成果は今春,医学書院より「臨床研修の現在(仮題)」として刊行予定。なお,メーリングリストについては以下のURLを参照のこと。
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2409dir/n2409_09.htm#00