医学界新聞

 

国内初の「聴導犬」認定される




 さる11月5日,社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団によって,国内初の「聴導犬」が認定された。これに伴い,7日には横浜市の横浜市総合リハビリテーションセンターにおいて,認定式と記者発表会が行なわれた。
 認定を受けたのは,東京都在住の松本江理さんの愛犬「美音」。松本さんは4歳から進行性の難聴となり,23歳で聴力を失っている。松本さんが聴導犬としての訓練を受けた「美音」と暮らしはじめたのは8年前からで,補助犬法施行までは,厚生労働省より「暫定犬」としての認定を受けていた。「暫定犬」として認定を受けていた聴導犬は全国で15頭にのぼる。本(2003)年10月からの補助犬法の施行によって,障害者自身の補助犬に対する認識も高まっているといわれており,今後さらに多くの認定が行なわれそうだ。
 聴導犬は,目覚まし時計,インターホン,やかんのお湯が沸騰する音などを知らせるといった,家の中での生活における役割を持つ他,病院での呼びだし,車のクラクションといったものも知らせることができる。聴覚障害者の社会参加のために重要な役割を果たす可能性を持っている。
 松本さんは,「聴覚障害者は見た目には健常者との区別がつかないため,聴導犬を連れていることへの理解が得にくかった。今回の認定で,聴導犬が法に基づいた存在になったことがうれしい。今後は,他の聴覚障害を持つ方にも,使ってみたいと思えるような行動をとっていかなくては」と語る。
 なお,国が指定している聴導犬の認定団体は,現時点では横浜市リハビリテーション事業団と,山形県の「日本パートナードッグ協会」の2つ。認定は書類審査の他,基準とされる動作の確認を通して行なわれるが,使用者のニーズに合わせたスキルが最も重視されるという。