医学界新聞

 

希望順位をどうつけるか?

――不慣れなマッチングで学生に混乱も


マッチングへの登録はじまる

 医師臨床研修マッチング協議会(以下,マッチング協議会)は,臨床研修の必修化に伴い,今年から実施される「研修医マッチング」の参加登録を8月20日に開始した。また,厚労省は8月31日に臨床研修病院の指定申請,研修プログラムの変更届け出などを締め切った。マッチングへの参加申込期間は9月30日までとされており,マッチングに参加する研修希望者や研修病院は,同日までに参加登録を行なう必要がある。
 9月1日には希望順位表の受付開始も予定されていたが,9月4日現在,希望順位表の登録は行なえない状態にある。これは,マッチングシステムに登録するために必要な研修プログラム番号の発行が遅れているためで,マッチング協議会は「各研修病院の研修プログラム番号が決まり次第,順次希望順位の登録が可能になる」と説明している。希望順位表の最終締切は10月30日に設定されており,時間的に余裕があることから,現在のところ大きな混乱には至っていない。
 一方,この8月から9月にかけて,研修病院の多くが研修医の採用試験を実施しているが,その中で,研修病院側が受験している学生に対し,「うちの病院は希望順位表の何番目か?」などの質問をしたり,「内定だ」などの言葉をかけるケースが発生し,学生を混乱させている。

素直な気持ちで最後まで書く

 これについて,マッチング協議会の事務局が置かれている医療研修推進財団の担当者は,「マッチングとは参加者および参加病院の希望順位に基づいて行なうものであり,『内定』はあり得ない。応募活動や採用活動を続ける中で,学生側も病院側もそれぞれの希望順位が変動する可能性は常にあり,口約束を安易に信じないほうがよい」と話す。また,「学生,研修病院の双方が提出する希望順位表は,お互いにまったくわからない仕組みとなっており,素直に自分の希望に従って作成することが大切だ」と強調する。
 学生はアンマッチになることを避けたいので,応募している病院の言葉には過敏になりがちだ。しかし,そのために希望順位の変更を行なったりすれば,本来マッチするはずだった,本当の第1希望の病院にいけなくなるケースも出てくる。後で後悔しないためにも,うわさや口約束には惑わされずに,自分が研修を希望する病院は,素直な気持ちで,最後まですべて記載することが大切だといえる。


研修医の処遇改善などに212億円

――厚労省来年度予算概算要求


月額30万円確保されるか?

 さる8月27日,厚労省は来年度予算の概算要求を行なった。この中で厚労省は「医師の臨床研修必修化の円滑な実施に向けて,教育指導体制の充実を図るとともに,研修医の処遇改善を含めた環境整備を推進する」として,212億円を計上した。これが確保されれば,臨床研修病院への補助金は大幅に増額(本年度の約5倍)されることとなり,研修医1人あたりの給与を,目標とされてきた「月額30万円(年収360万円)」程度に引き上げることが可能になる見通しだ。
 ただ,年末の予算案決定までには,財務省との調整が残されており,財務省側は難色を示していると言われている。