医学界新聞

 

日本看護協会プレス懇談会の話題から




 さる7月17日,東京都青山ダイヤモンドホールにて,日本看護協会が2003年度の第1回目となるプレス懇談会を行なった。先ごろ行なわれた通常総会で3期目の就任が決まった南裕子会長をはじめ,新しい役員執行部が今年度の目標について述べた。

在宅医療拡充へさらなる取り組み

 冒頭の挨拶で南裕子会長は,在宅医療の発展が頭打ちになっている現状を指摘。時限措置とはいえ,厚労省の分科会報告でALS患者の喀痰吸引を家族以外の者に認めることになった問題にも触れ,「本会の調査によれば,90%の人が自宅で最期を迎えたいと願いながら,実際に自宅で亡くなることができた人は現状では30%程度に過ぎない。患者利益を第一に考える協会の立場として,在宅医療のさらなる発展にこれからも力を注いでいきたい」と述べた。

医療労働者の派遣問題について

 一方,先ごろ報告書が出た厚労省「医療分野における規制改革に関する検討会」については,医療資格者の派遣労働解禁の動きについて執行部からのコメントがあった。これまで禁止されてきた医療従事者の派遣労働だが,今回の報告書では「事前面接による人物特定を行なえば(チーム医療への支障などの)問題は防止可能である」との考えから,派遣期間終了後に派遣先への直接雇いが予定される「紹介予定派遣」に限って派遣を認める方針で,2003年度中に実施するとされている。日本看護協会としては,規制改革によるメリットは一部認めるものの,医療の質の担保や労働者保護措置,均等待遇などの課題については引き続き取り組むとした。

通信学習による移行教育を開始

 また,重点事業として取り組んでいる准看護師から看護師への移行問題について,通信学習による2年課程の概要について報告があった。これは経験10年以上の准看護師が,印刷教材を使った自己学習などの通信学習と,臨地実習や他で取得した単位などを合わせて,看護師国家試験受験資格を得ることができるという制度。2004年4月に課程開設する養成所については,2003年12月末,厚労省が発表する(URL:http://www.mhlw.go.jpに掲載予定)。