医学界新聞

 

今年度は1400万本-インフルエンザワクチン需要予測

第6回インフルエンザワクチン需要検討委員会より


さまざまな視点から議論

 厚生労働省はさる6月24日に,東京・中央区の八重洲富士屋ホテルにおいて,第6回インフルエンザワクチン需要検討会(委員長=国立療養所三重病院 神谷齊氏)を開催した。同検討会は,医師会,製薬メーカー,マスコミなどの各方面から選出された委員と,厚労省医薬局,医政局,健康局のそれぞれの担当者が出席し,毎年その年度の流行シーズンに必要となるインフルエンザワクチンの数を前年度の調査結果から予測,検討するもの。

いまだ低い? ワクチン接種率

 検討会ではまず,2002年度のインフルエンザワクチン接種についての調査研究が報告され,近年は予防接種法の改正などに伴ってワクチンの需要は高まっているが,それでも全体で15%程度の接種率にとどまっており,接種率が60%にものぼる米国に比べればまだ低い接種率であることが指摘された。
 また,ワクチン接種にあたっての公的補助額は自治体によってばらつきがあり,特に高齢者における被接種者が,ワクチン接種時に負担する額は1回あたり1000円以下という自治体は約5割,2000円を超える自治体は約3割にのぼるという報告もなされた。この点との関連は不明であるものの,接種率の地域差についても議論され,キャンペーン活動の差などによる影響が示唆された。
 一方で,委員の中からはインフルエンザ治療薬の充実により,ワクチンの需要に影響を及ぼす可能性も指摘された。これに対して委員の廣田良夫氏(阪市大)は,「自信を持ってワクチンの有効性を訴えていくことも必要」と発言した。

今年度も増加傾向と予測

 調査研究報告を受けて,厚労相では2003年度のワクチン需要を,これまでの増加傾向を加味して1244-1400万本程度と算出。ワクチンメーカーの製造予定量が現在のところ約1445万本(2002年度は約130万本)であるとのことから,需要に見合うだけの供給は可能としている。検討会は,この予測を支持している。