医学界新聞

 

合格体験記-「よい医師となる」を目標に

杉浦至郎(三重大学医学部卒)


 今回の国家試験を無事に乗り越えることができ本当にホッとしています。さて,合格体験記ということですが,僕自身の体験と反省,そして僕なりの意見を述べさせていただきます。

過去問は早めに終わらせよう

 まず,過去問(特にメジャー科の部分)はできる限り早い時期にひととおり終わらせてしまうべきです。『クエスチョンバンク』,『アプローチ』にはよい問題がバランスよく掲載されていると思います。これらの問題を解くことは臨床実習にも必ず役に立つし,実習自体がより充実したものになります。問題を解く際,1症例ずつ鑑別診断や病態生理を考えながら解いていくのが理想的なのですが,時間に十分余裕がなければ,深く考えずに参考書を読む感じで問題を読んでいってしまってもよいと思います。僕の勉強不足かもしれないのですが,名前も知らない病気がいくつもありました。知らなければ鑑別のしようがありません。僕はこの作業が遅れてしまい,後悔しました。
 次にマイナー科をおろそかにしないでください。マイナー科の疾患にも当然緊急を要する疾患が多くあり,医師となった後重要になってくる知識も多く得られると思います。皆さんの代からは卒後研修が必須となり,より多くの科を研修することになると思いますが,研修可能な科には限度がありますし研修前に知識をつけておくに越したことはありません。

できるだけ病院実習に参加しよう

 そして研修指定病院などの病院見学,実習にはできるだけ参加すべきです。多くの病院で先生方にたいへん良い対応をしていただけ,もちろん勉強になり,モチベーションもあがります。遠いところであれば旅行気分も味わえます。今後はマッチングの関係でより多くの人が見学や実習に参加すると思われますので,できるだけ早い時期に申し込みをすることをお勧めします。
 さて,このように勉強をしていくと国試前に時間的余裕が生まれると思います。ぜひしっかりと運動をして体を鍛えてください。また実習の復習や医学英語の勉強(とても大切です),より実践で求められる知識の習得のための時間に充てるのもとてもよいと思いますし,USMLEを解くことも非常にためになると思います。
 ストレスの解消法ですが,僕は運動とおいしいお昼ご飯を食べることでストレスを解消していました。昼ならリーズナブルな値段でおいしいものが食べられるし,平日にお昼ご飯をゆっくり食べることができるのはまさに学生の特権です。お昼ご飯なら時間を取り過ぎることも少ないです。
 学生生活,特に臨床実習から国試までの時間の使い方に対する考え方は人それぞれだと思いますが,この期間は単に国試に合格する勉強の期間と捉えるのではなく,よい医師となるための勉強,準備をするための期間と捉えるべきだと思います。そのためにも過去問を早く解き余裕をもって国試をむかえてほしいと思います。
 いろいろと書いてきましたが,ひとつでも参考になることがあれば幸いです。では皆さんが国試を無事合格されること,国試対策のみに気を取られ「よい医師となる」という目標を見失わないで勉強を続けることができるよう祈っております。