医学界新聞

 

第1回訪問リハビリテーション研究会が開催される




 第1回全国訪問リハビリテーション研究会が,さる3月8-9日,石川誠氏(初台リハビリテーション病院長)を世話人に,東京・虎ノ門のダイアモンドホテルにおいて開催された。
 介護保険制度が開始され,地域におけるリハビリテーションサービスの充実が求められ,とりわけ訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)は早急な基盤整備が必要なことから,2002年に,訪問リハの普及・質的な向上などを図る目的で立ち上げられた本研究会の初の開催となった。
 訪問リハは理学療法士・作業療法士らを中心に行なわれているが,マンパワー不足からいまだ整備が十分とは言えないのが現状。他方,看護師らにより訪問看護の枠の中で行なわれていたり,また言語聴覚士の訪問リハについては保険がつかないことから,各施設の持ち出しで行なわなければならないにも関わらず,必要度の高さから導入している施設も存在するなど,そのあり方は地域,施設によってバラツキがみられることが指摘されてきた。
 今研究会では,石川氏による基調講演,続いて先駆的に訪問リハを実施する13施設による訪問リハ実践報告会(司会=初台リハ病院 伊藤隆夫氏),2日目はワークショップ「事例に基づく訪問リハ計画の立案」が企画され,全国から約300人の参加者が集い,訪問リハの方向性を探った。

訪問リハをめぐる状況

 石川氏による基調講演「訪問リハをめぐる昨今の情勢」では,急性期・回復期・維持期におけるリハサービスの特徴を解説した上で,新たに設置された「回復期リハ病棟」は,2003年3月現在で全国で254病院,303病棟,1万3801床整備されているが,人口10万対地方別にみると四国,九州,中国地方は比較的設置が進むものの,東北,関東,近畿地方ではまだまだ整備が遅れている状況を明らかにした。
 また,介護保険施設に入所した利用者は,平成12年と13年を比較すると,介護保険施設の入居者の多くはその場に留まるか,別の施設に移動するが,家に帰り在宅サービスを受ける例が少ないことから,家庭復帰が困難である実態を浮き彫りにした。さらに,居宅サービス種類別の利用者数は,訪問介護89万人,訪問看護4万人に対して,訪問リハは2万人にすぎず,その理由は「サービスがない」ことから,整備不足が大きな原因であることを明らかにした。
 そこで氏らによる訪問リハ実態調査(調査対象施設日本リハ病院・施設協会会員647施設中417施設)の結果,訪問リハを実施しているのは282施設(68%),非実施は125施設(32%)で,1件あたりの訪問時間の平均は約57分などの現時点での訪問リハの様子が示された。
 最後に,訪問リハの課題として,(1)訪問リハの標準化,(2)現在の2万人から20万人へと,居宅介護サービス利用者の10%以上が訪問リハを利用することができるような基盤整備,(3)訪問看護・訪問リハ・訪問介護間のリハ的技術移転の必要性を,例としてこの3つが一体となった訪問ステーションの創設も考えられるとした。