医学界新聞

 

第26回日本医学会総会開催迫る

福岡市で初の開催:学術講演=4月4日-6日,学術展示=3日-6日,
公開展示=2日-8日




    
    
(いずれもさる2月25日に開かれた記者会見場にて)


 第26回日本医学会総会が杉岡洋一会頭(九州労災病院長・前九州大学総長)のもとで,きたる4月4日-6日の3日間(「学術展示」は3日-6日の4日間,「公開展示」は2日-8日の7日間),福岡国際会議場・他において開催される。
 周知のように,日本医学会総会は日本医学会が日本医師会と協力して,医学および医学関連領域の進歩発展を図り,学術面,実践面から医学における重要課題を総合的に討議することを目的として,明治35(1902)年に東京で第1回が開催されて以来,ほぼ4年ごとに開催されて今日に至っている。
 21世紀初の総会となる今回は,それに相応しく,「人間科学 日本から世界へ-21世紀を拓く医学と医療 信頼と豊かさを求めて」をメインテーマに掲げている。また今回は,過去約100年にわたって東京・大阪・京都・名古屋の4大都市に限って開催されていた同会が,初めて九州・福岡市で開催される。
 なお同時に,本年は九州大学医学部創立百周年に当たる。
 プログラムの詳細については,下記URLを参照のこと。


メインテーマ

人間科学 日本から世界へ

21世紀を拓く医学と医療 信頼と豊かさを求めて

 杉岡会頭は,今回のメインテーマ「人間科学 日本から世界へ-21世紀を拓く医学と医療 信頼と豊かさを求めて」に関して,解釈が多様な「人間科学」を敢えて取り上げ,心をもった人間を総合的に理解する「人間科学」の視点を医学・医療の基盤に据えるに至った理由を次のように説明する。
 「20世紀における著しい科学技術の進歩は豊かな文明を築き,現代社会はその成果を享受してきたが,同時に環境や自然破壊,物質・経済偏重,効率至上主義をもたらし,ひいては生物の存在をも脅かしかねない事態を招きつつある」と指摘。
 また「医学においても,生命科学の飛躍的進歩は,遺伝子レベルでの病因解明,診断,治療を可能にし,また生殖医療,脳死移植などは,ヒトの発生から死後の領域に踏み込み,さらに再生医学,人工臓器などは多大な福音をもたらすと同時に,これらはいずれも人間を物質として捉える傾向に拍車をかけることも懸念される。言うまでもなく,科学の進歩と技術の革新は生命科学の知的創造に不可欠であり,だからこそ,人間を見失うことなく,人類文化の発展を適正に導くことが必須と考えられる。
 一方,少子化,高齢化による社会構造の激変から,わが国の医療制度にも根本的な問いかけがなされ,利潤や効率では計れない人間の営みとしてあるべき医療にも,多くの指摘がなされている。そこには,知性と感性を備えた人間を全体として捉えた,信頼に足る,質の高い医療が求められる」。
 さらにまた,「自然災害,紛争時や僻地への国際協力,地球化(グローバリゼーション)に伴う新興・再興感染症の伝播などに対し,わが国は積極的に取り組む時代である。かつてオランダ医学が長崎に伝えられて近代医学の基礎を作ったが,現在はわが国の最先端の医学と医療を近隣アジア,さらには広く世界に発進し,貢献すべき時代と思われる」と述べ,「以上のことから,21世紀初頭を飾る今回の日本医学会総会では,人間科学を基盤とした新しい,そして世界に開かれた医学と医療をテーマに,アジアの一員として,日本から世界を視野に,わが国の医学・医療のあるべき姿を問うことにしたい」と強調する。

第26回日本医学会総会事務局

〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
九州大学大学院医学研究院内
TEL(092)643-7501/FAX(092)643-7502
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