医学界新聞

 

女性医師の注目を浴びる「家庭医」という選択肢

女性医師・医学生のためのシンポジウム開催




 本年6月22日,東京の浮間ふれあい館において,東京ほくと医療生活協同組合北部東京家庭医療学センターの主催による「女性医師・女子医学生のための,医学教育,卒後研修,そして地域医療をめぐるシンポジウム」が開催された。同センターは,独自の家庭医養成プログラム(4年間)を持つが,同センター所長で優れた家庭医・指導医として知られる藤沼康樹氏のもとには,近年,「家庭医という選択肢」を考える多くの女性医師・医学生からの相談がくるという。
 29歳以下の医師の女性比率は,すでに2000年度には3割を突破している。今後ますますの女性医師の活躍が期待されるが,女性にとっては,妊娠・出産をどう迎え,夫とともに育児にどう取り組むかも大きな問題だ。本シンポジウムでは,医師としての今後の進路に悩む女性医師・医学生のために,先輩女性医師たちが,自らの仕事と生活を紹介し,参加者たちと女性医師の可能性についてディスカッションした。

家庭と仕事を両方を大切に

 シンポジウムで,家庭医あるいは家庭医療研修中の医師として講演を行なったのは,大西恵理子氏(米国家庭医療専門医),および北部東京家庭医療学センターに所属する大野毎子氏,西村真紀氏,伊藤末氏,平山陽子氏の5氏。
 この中で,大西氏は米国での家庭医の仕事を「さまざまな症状を訴える患者さんを最初に診るため,広い知識が必要で非常に刺激的で,楽しい」と語った他,「患者の70-80%は女性であり,『女性患者の味方』として医療を行なう上で力を発揮できる」と女医ならではの役割を述べた。一方,大野氏は,家庭医であると同時に,ニューキャッスル大や東大で研究を行ない,母業と妻業をもこなす日々の生活を紹介。家庭と仕事,研究は,やり方次第で両立可能だとした。また,西村氏は,「国産家庭医」としてのこれまでの歩みを語る中で,妊娠・出産・子育てには,喜びと同時に家庭医としても学ぶことがあると指摘し,仕事と家庭の両方を大切にできる「家庭医」という仕事の魅力を述べた。
 参加した女性医師・医学生らは,演者らが語る「女性家庭医の現状と可能性」に熱心に聞き入り,「家庭医」という選択肢について真剣に考えをめぐらせている様子だった。