医学界新聞

 

「こんな研修をしたい!」をテーマに

第2回医学生と医師のMLシンポジウム開催


いつもML上で切磋琢磨している全国の仲間たちとの出会い

 「College-Med」の愛称で親しまれる「より良い医療を目指す医学生と医師のメーリングリスト」の第2回シンポジウムがさる8月25日東京の東京医科歯科大で開催され,全国から多数の医学生が参集した。今回は「こんな研修をしたい!-よりよい研修を求めて」をテーマに掲げ,臨床研修必修化の制度設計の議論が大詰めを迎える中,それぞれの参加者に「自分自身にとってよい研修とは何か」を考えさせる,ユニークなプログラムが組まれた。
 シンポジウムの冒頭に行なわれた黒川清氏(東海大)の講演では,現代日本の閉塞した状況を,独自の視点から歴史的に概説。急速な情報化により,誰もが世界を知るようになり,世界中が日本を見るようになった結果,あらゆる物事において,透明性や説明責任など社会的責任が求められる時代になったと指摘。医療・医学教育においてもその質を社会に対して保証しなければならない時代になってきたと強調し,参加者たちに,広い視野を持ち,普遍的な価値とはどのようかものか考えるためにも,「他流試合」をすることが大切だと訴えた。
 一方,続いて行なわれた「交流&Case Study」では,西田順子さん(東京女子医大6年)と舛方葉子さん(浜松医大6年)の司会による陽気なアイスブレーキングの後,メーリングリスト(以下ML)ではお馴染みの松村正巳氏(石川県立中央病院)の症例提供によるケーススタディが行なわれた。いつもML上で切磋琢磨をしている仲間たちが,実際に顔を合わせて議論するという貴重な時間となり,お昼休みには,互いに初対面の挨拶を交わす医学生たちの姿が目立った。

研修施設選びのポイント

 午後には,まずパネルディスカッション「こんな研修をしたい・させたい!」が組まれ,司会の安田隆氏(聖マリアンナ医大),須藤博氏(東海大)の司会のもと,医学生・研修医から絶大な人気を誇る指導医として知られる松村理司氏(舞鶴市民病院),井村洋氏(飯塚病院),および,今年から研修医になったばかりの桑原宏哉氏(虎の門病院)らの口演が行なわれた。
 井村氏は,初期研修の達成目標として,「緊急,高頻度,会話」の「3つのK」を提示し,その目標達成に必要なのは,「やる気」だけではなく,「人,場,やり方」が大切だと指摘した。また,松村氏は「研修医が互いに切磋琢磨し,生き生きとしていることが大切だ」と述べ,それぞれ適切な研修施設選びのポイントを示唆した。
 本シンポジウムでは,さらに,全国から21の臨床研修病院による個別面談会も開催され,それぞれの病院の臨床研修担当者らと医学生らの面談が行なわれた。学生たちは,真剣な表情で各施設の研修の説明に聞き入っていた。
 閉会に際して,実行委員を代表して挨拶した中尾悦子さん(東海大5年)は,「お互いに交ざり,刺激し合う場は大切。この企画が互いを高め合うことに貢献できればうれしい」と述べた。
 なお,本MLは東海大の市村公一氏が4年前に開設したもので,現在,会員約1500名を擁する医学系最大のMLの1つ。
 以下のURLで紹介記事が読める。
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2409dir/n2409_09.htm#00
懇親会で挨拶するシンポジウム実行委員総括を務めた中尾悦子さん(左端),自見英子さん(東海大5年,左から2人目),太田優さん(東海大5年,右端)