医学界新聞

 

 〔連載〕ChatBooth

 「ウイメンズ・キャンサー・サポート」

 馬庭恭子


 昨年は,舅,実母,義兄と3人を見送った。肉親をはじめ,近親者が亡くなることが増え,本当に自分の死もいよいよ射程距離に入ったのかな,と考えるようになった。
 がんの治療を受け,おかげで1年後の検診では異常なく,仕事を続けている。「ゆっくりと人生見直して」と思っていたが,むしろ怖いもの知らずになって,「やりたいことやろう」と走り出してしまった。
 闘病中から,「元気になったら患者会をするぞ」と事務局を作り,「ウイメンズ・キャンサー・サポート」と名づけ,仲間づくりを進めてきた。不思議と人とのつながりができ,みんなで集まることができた。今は,30数人の「婦人科がんの女性たち」が,お茶を飲んだりしながらそれぞれの体験を話しあうなどして,「あっ」という間の時間を過ごしている。
 「今まで,こんな会なかったから,これから情報交換できてうれしい」
 「みんな大変な治療を受けてきたんですね。私も希望が持てました」
 私自身も,「ああ,やる意味がやっぱりあったんだな」と納得できた。事務局を手伝ってくれている人にも恵まれる。ボランティアとして,封筒を作ってくれる,宛名書きもしてくれる,電話番をしてくれる,でどうにか運営できている。
 月に1回か,2か月に1回のペースで定例会を開いている。定例会でしていることは,集まってきた体験者からアンケートをとって,「聞きたいこと」,「知りたいこと」などを書き込んでもらい,その中で優先順位をつけて,講師を見つけてくる,といったことをしている。講師料も,
 「別にいいです。お役にたてるんでしたら」と,みなさん遠慮気味である。
 「ありがたい,ありがたい」という気持ちで,日程調整をしている。
 マスコミにもこの会の存在を知らせた。そうしたら,なにしろ初めての会なので,新聞社,テレビ局などが取材に訪れ,
 「1人で悩んでいないで,話しにきませんか」と言うメッセージに,またまた電話などの反響がある。
 2回目の定例会を開こうと準備していると,事務を手伝ってくれているKさんが,
 「ちょっと腫瘍マーカーが上がったのよ。それに,一緒に病室で過ごした人が亡くなっていたのよね」と,ブルーになっている。
 「そうだね。1人減り,2人と減っていくことだってあるよね。悲しいね。でも,会に来て,希望を持って,生きていけることもあるんだから……」と慰める。
 「再発しないだろうか……」
 この不安は,私もそうだが,誰にでもつきまとうことは事実である。それでも,仲間の一言で救われることがある。ずっとこの会を続けていこうと思う。