医学界新聞

 

日本看護協会が「プレス懇談会」を開く


 日本看護協会(南裕子会長,会員52万人)のプレス懇談会が,さる7月4日に,東京・神田の学士会館で開催された。同懇談会では,本年5月の「日本看護協会平成14年度通常総会」(本紙2491号に既報)を受け,新たに選任された役員,今年度の重点事業などが紹介された。

今,看護が憂慮すること

 同協会は,「医療保険制度関連法案」に関して,「財源確保の論議に終始した感が否めない」として,医療保険制度の安定的な維持のために,(1)プライマリヘルスケアの充実,(2)施設から在宅医療へのさらなる推進,(3)高品質の医療サービス,(4)病床数の適正化などの抜本的な改革を主張。一方,精神保険医療福祉施策については,(5)こころの健康増進,(6)医療機関の充実,(7)社会復帰の促進(地域の条件が整えば7万人が退院可能となり社会復帰できる),(8)地域生活支援の充実(住民を含めたサポート)などを,社会保障審議会に提案したと報告した。
 さらに,児童虐待防止に関連し,「子ども虐待は,看護職1人ひとりが専門職として自らの責任において取り組む」などを目標とする,「看護職による子どもの虐待予防と早期発見・支援に関する指針」を発表。看護職の行動項目などを盛り込んだ同指針を,本年8月に冊子としてまとめる。
 なお,南会長は冒頭の挨拶の中で,東女医大病院の「心臓手術ミス事件」に触れ,「カルテ改ざんはあってはならないこと。『NOと言えるナースになろう』を協会としても強く打ち出していきたい」との考えを示した。この事件については,「隠蔽体質の中に潜む上下関係から,強固な強制指示により看護職を巻き込んでカルテ改ざんが行なわれた。看護職能団体としては,どのような事情があれ加担しない,納得できないことには反対をするとの姿勢を徹底したい」とした。本事件に対しては,現在協会としても情報収集が進めており,今後は,ある程度調査をまとめたところで,協会としての何らかのコメントを発表する予定であることを明らかとした。